③『DX』というゲームチェンジ後、
御社は生き残れますか?

1.DXはなぜ必要か?

 コンピュータの進化、IT技術の発展、世界中に張り巡らされた高速ネットワーク等により、世界は急速にデジタル化しています。そしてデジタル化により「スピード」 「働き方」「業界」の壁が破壊される現実を、我々はすでに目の当たりにしています。

 物ごとの変化がゆっくりしていたアナログ時代はすでに過去のものとなり、これから我々人類は過去の知見が役に立たない「正解のない世界」へ向かうと言われています。いままで人間にしかできなかった知的な仕事も、AIや人工知能にとって代わられる時代が目前に迫っています。今ある職業も、その多くがデジタル時代には消えるとの予測もあります。

 そんな先の見えない時代、DXの勝者と敗者がはっきりする『2025年の崖』から転落せずに御社を存続させるには、『DX ( 業務のデジタル化 )』が必要不可欠です。

2.日本企業におけるDXの実態

 にもかかわらず、日本企業におけるDXの進捗状況は芳しくありません。2020年12月に経済産業省が発行した『DXレポート2 中間とりまとめ』には、実に95%がDXに未着手であり、着手した5%の企業の成功率は14% ( 欧米は30% ) という驚愕のデータが記載されています。両方を掛けると、日本企業のわずか0.7% ( 142社に1社 ) しかDXに成功していないことになります。DXが日本および日本企業にとって事実上の「とどめ」となる可能性が高いことに、私は強い危機感と戦慄 (せんりつ) を感じざるを得ません。

【参考資料】
1.DXレポート
~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~ (2018年9月発行)
・サマリー 20180907_01.pdf (meti.go.jp)
・簡易版  20180907_02.pdf (meti.go.jp)
・本文   20180907_03.pdf (meti.go.jp)

2.DXレポート2
(中間とりまとめ) (2020年12月発行)
・サマリー 20201228004-1.pdf (meti.go.jp)
・概要   20201228004-3.pdf (meti.go.jp)
・本文   20201228004-2.pdf (meti.go.jp)

3.DXレポート2.1
(DXレポート2追補版) (2022年8月発行)
・概要   20210831005-1.pdf (meti.go.jp)
・本文   20210831005-2.pdf (meti.go.jp)

3.なぜ日本企業はDXに取り組まないのか?

 この質問に対するシステムベンダー側の回答は、次の2つでした。

(1)日本人は、流氷から最初に海に飛び込む『ファーストペンギン』になりたがらない。
→ 『先駆者』になりたがらない国民性。
(2)アジャイルでない組織風土がある。
→ 日本型組織は失敗に非寛容なので、失敗する確率の高い新しいことに挑戦しづらい。
 

 この回答に対し、2000年前後に起きた『ERPブーム』の渦中、第一線でERP導入に従事した経験を持つ私 ( カスタマー側 ) の見解は「ERP導入に失敗したトラウマのせいで、日本企業の経営者はDXに取り組む気になれないのでは?」です。

4.DXに失敗する企業、成功する企業

 DXに挑戦し失敗した事例を分析すると、主な原因は下記の5つです。

①DXの実施内容が従業員に丸投げ。
②DX遂行に必要なデータが未整備。
③組織マネジメントが非科学的。
④従業員の同意と納得なしに強引に推進。
⑤社内にIT人材が不足。

 上記5つの失敗原因は、前述のERP導入の失敗原因と全く同じです。ということは、『DX失敗原因』を裏返せば『DX成功法則』となります。

【DX成功法則】
①「現状の見える化」「業務量の最小化」「業務遂行方法の標準化」の3ステップを実施する。
②「見える化」の過程で、全業務の所要時間( 金額 )や月毎・担当者毎の業務量を算出し、定量的データを整備する。
③組織マネジメントシステムの自社構築により、科学的組織マネジメントを実現する。
④従業員アンケートを実施し、結果報告会でDXの必要性を全社で共有化する。
⑤組織マネジメントシステムを自社構築する過程で、IT人材を養成する。

5.科学的組織マネジメントはなぜ重要か?

 DX成功率は欧米企業の30%に対し、日本企業は14%と半分以下です。その主な原因が科学的組織マネジメントの有無であることは、あまり知られていません。また日本企業の労働生産性が先進7ヵ国中、万年最下位である原因もこれによります ( 詳しくは『間接業務の生産性向上が日本企業再生のカギ』のページをご覧ください )。

 『DX』という言葉の意味は「デジタル技術 (D) を使って変革 (X=トランスフォーメーション) する」ですが、この「X」には業務遂行方法のみならず、組織マネジメント方法も含まれています。DXに失敗する日本企業はこの点を見落としています。『DX』を「そろばん → 電卓」「電卓 → PC」と同じレベルで考えているようでは、大きな成果は望めません。科学的組織マネジメントなしにDXを実施することは、基礎工事をしないで地面に直接家を建てるようなものです。成功するはずありません。

6.なぜ日本企業のマネジメントは「科学的」ではないのか?

 ここまでお読みいただいたあなたの脳裏には、今この疑問が湧いていることでしょう。この問いに対する回答は、国民性および歴史の観点から見て下記の通りです。

(1)日本人の民度の高さ ( 遵法精神、忠誠心、衛生観念等 ) により、従業員性善説による緩い管理が可能。
(2)その反面、合理的な思考および行動が苦手。
(3)先進国中唯一、その歴史に奴隷制度が存在しない。

(4)弱肉強食の帝国主義の時代に、欧米諸国のような搾取型植民地経営をせず。

 日本では、上が方向性さえ示せば下が勝手に業務を進めてくれます。また、他人の労働を搾取する考えもなかったため、科学的組織マネジメント技術が発展しなかったのです。日本人の長所が裏目となった、とも言えます。

7.『ゲームチェンジ』に弱い日本人

 マーケティングの世界では日本企業はフィニッシャー ( 仕上げ屋 ) に位置し、日本企業が生産を始めた製品ジャンルにおいて欧米企業に勝ち目はありません。家電、半導体、自動車などがそうであり、最近では小型旅客機 ( ホンダジェット ) が記憶に新しいところです。

 またスポーツ ( オリンピック ) の世界では、日本人はルール変更に弱いことが知られており、潜水泳法の禁止 ( 平泳ぎ、背泳ぎ ) やポイント制の導入 ( 柔道 ) などの事例は「日本人選手にメダルを取らせないようにするためでは?」と疑う人もいます。

 そしてこの『日本人対策』はビジネスの世界でも通用し、自動車業界における内燃機関車からEVへのシフト等に「日本いじめ」のにおいを感じます。日本人の国民性は①定住を好む農耕民族 ②一つの技術をとことん磨き上げる職人気質、の2つが強く影響しているため、
『ルール変更 ( ゲームチェンジ )』をされると対応が困難です。その弱点を知る欧米人は
「日本人が勝ちそうになったら、ルールを変更してやれ!!」と考えています。

8.『DX』という名の国難

 そんな組織風土の日本企業にとって、属人的な業務遂行方法 ( アナログ) から、数値データに基づく科学的な組織マネジメント ( デジタル ) へ変換を迫られる『DX』というゲームチェンジは、ハードルが高いと言わざるを得ません。

 とはいえDXの勝者と敗者が選別される2025年の『DXの崖 (敗者は二度と立ち上がれない、の意)』は目前に迫っています。我々は今、1945年の敗戦、1991年のマネー敗戦に続くDX敗戦の危機に瀕しています。つまり『DX』とは、日本企業のみならず、国家や国民にとっても最大級の危機なのです。この『国難』を乗り越え、我々は存続することができるのでしょうか?

9.ピンチはチャンス!! 立ち上がれ、日本企業!!

 しかし、まだ諦める必要はありません。我々には対抗手段が一つ残されています。弱点である組織マネジメントを数値データに基づく科学的なものにすれば、日本企業はすぐに蘇生します ( 昨今海外の投資ファンドが日本企業を買収した後これを実施し、高値で転売していることからもその有効性は明らかです )

 古くより「ピンチはチャンス」と言いますが、日本企業にとって『DX』という極大のピンチこそ、『科学的組織マネジメント』という大きな『伸びしろ』に着手する最大かつ最後のチャンスなのです!!

 弊社は、そのチャンスを活かし、DX勝者になるべく立ちあがった企業への支援を惜しみません。立ち上がれ、日本企業!!

【参考資料】
メルマガ第139号 御社「DX成功のポイント」をご存じですか?
メルマガ第140号 あなたは「DXに乗り遅れる恐ろしさ」にお気づきですか?
メルマガ第141号 私の抱く「危機感」について
メルマガ第142号 あなたは「ERP導入失敗のトラウマ」を克服できますか?

【DX推進事務局支援サービスについて】
⇒⑧TMS研がご提供する各種サービスについて

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