⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第18号

御社は「固有技術」と「管理技術」のどちらが売り物ですか?

 今回のメルマガのテーマである「固有技術」と「管理技術」ですが、最初にそれぞれの定義を明確にしておいてから話を始めたいと思います(次の定義は製造業向けのものです)。

 「固有技術」とは、優れた独自の製品を設計・製造する技術のこと。

 「管理技術」とは、業務管理により生産性を上げ、製品を早く安く作る技術のこと。

 突然ですが、プロ野球の世界には「名選手必ずしも名監督ならず」という言葉があります。これは、選手として優秀だった人が必ずしも監督として優秀とは限らない、という意味です。これを逆から言うと、パっとしない選手でも名監督になることがある、となります。さらにもっと突っ込んで言うと、選手に要求されるスキルと監督に要求されるスキルは全然違う(極論すると相関関係がない)、となります。

 「そ、そんな馬鹿な!!何を言ってるんだ、角川は」と思われた方は、添付の『人間関係の心理学』という講演録をお読みください。選手として全く経験のないバドミントンの監督をされた方が、何回も全国制覇を成し遂げています(ちなみに【質疑応答】の「バドミントンの監督をして、選手経験のないことが良かった点と、困った点は何ですか?」という質問は、私がしました。その際、講師から「実にいい質問ですねぇ」とお褒めいただきました(笑))。

 さて、話を製造業の設計部門に戻しましょう。上記の「名選手必ずしも名監督ならず」という言葉は設計部門にもそのまま当てはまります。すなわち「名設計者必ずしも名設計部(課)長ならず」ということです。これは設計者に要求されるスキルが「固有技術」なのに対し、設計部(課)長に要求されるスキルが「管理技術」であることによります。

 前回のメルマガにも書いた通り、有史来奴隷制度がなかった日本では管理(マネジメント)技術が発達せず、固有技術を偏重する傾向があります(管理技術を軽視しているとも言えます)。私の『事務(間接業務)の「見える化」セミナー』の冒頭では、管理技術(AIOS)がなかったばかりに起きた3つの悲劇をご紹介しています。1つ目の事例は総務部長のメンタル不全発症、2つ目は担当者(私のことです)の健康障害発症、そして3つ目が設計部長による業務不良(提出データ偽装)です。特に3つ目の事例は監督省庁の逆鱗に触れ製品出荷停止処分を食い、会社経営上大きなダメージを負いました(3ヶ月後にあの東日本大震災が発生しなければ、会社は廃業に追い込まれていたかもしれません。今にして思えば福島原発の事故発生後、原子炉と仮設電源を繋ぐ危険な作業がこの会社に依頼されたのもある種の「ペナルティー」だったのでしょうね)。

 設計部長が提出データ偽装をしてしまった理由は、もともと5人分の仕事を残業と休日出勤によって3人でやっていたところ、「聖域なきリストラ」とやらで部員を2人に減らされてしまいどうにもならなくなったためでした。別の見方をすると、管理技術(AIOS)がないため、体力と気力(残業と休日出勤)でなんとか凌いでいたが、ついに一線を超え業務が破たんした、とも言えます(この事例についてはメルマガ第5号で詳述しました)。

 一般論として、メーカーは他社にはマネできない独自製品がある場合、価格競争にならない(ブールーオーシャン)ため固有技術だけでも経営は大丈夫と言われています。しかし私の前職の業界のように競合他社が多く市場が過当競争(レッドシー)の場合は、製品品質(Q)の他に価格(C)や納期(D)も顧客から要求されるようになります。そして、それらの要求を満たすには固有技術の他に管理技術が必須となります。

 別の見方をすれば、景気が右肩上がりで作れば売れる時代は固有技術だけで大丈夫だが、不景気で生産能力過剰の時代に生き残るためには管理技術が必須要件となる、とも言えます(ここで言う「管理技術」とは「事務(業務)管理システム」≒AIOSのことです。「事務(業務)管理システム」につきましては、下記URLをご参照ください)。

http://www.tmsri.com/tms.html

 御社の属する業界が成熟しており、製品自体の性能(固有技術)で差別化が困難であれば、管理技術(事務(業務)管理システム)が御社の業績を左右します。

 御社は「固有技術」と「管理技術」のどちらが売り物ですか?

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