私がビジネスセミナー講師および経営コンサルタントとして独立開業して、早3年が過ぎました。お陰様でセミナーは20回を超え、中でもAIOS(業務管理システム)を紹介するセミナー(過去9回開催)は一番人気です。そのセミナーでは冒頭に『こんなことでお困りではないですか?(管理職編)』(添付)をやってもらい、10ある質問中何件該当するか受講者に聞くことにしています(受講者ニーズ調査として実施しています)。7件程度該当するのが普通ですが、過去に6名該当件数3~4件の方がおりました。それらの方に「御社には間接(事務所)業務を管理するシステムがおありですね?」と尋ねると、皆さんうなずかれました。システム導入済の会社は①国内大手メーカー②外資系(米・独)メーカーに限られ、日本の会社全体で99.2%を占める中小企業での導入事例はまだ聞いたことがありません(ここまで読んで「ん?『業務管理システム』ってなんだ?」という方は、下記URLよりTMSの解説をお読みください)。
→ http://www.tmsri.com/tms.html
中小企業で業務管理システムの導入が遅れている理由は、3つ考えられます。1つ目はそもそも同システムの存在を知らない、です。その理由として①マスコミで報道されない②書籍等の出版物が少ない、等があげられます。先進7ヶ国の中でも労働時間が短いことで知られるドイツでは同システムは相当普及していると思われますが、『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』という本を読んでも、同システムの存在には言及されていませんでした。
2つ目は導入に必要なお金がない、です。システム導入というと一般的なのはパッケージソフトの購入です。以前私は3社が販売していると言いましたが、今回改めて『業務管理システム』で検索してみると10社以上あるようです。システムの内容は各社それぞれですが、それなりの値段はします。それ以外に私がパッケージソフト導入に賛成しない理由は、メルマガ第11号(システム自力構築のメリット放棄)・13号(「身の丈」に合わないシステムは害)に記したとおりです。
3つ目は自力で業務管理システムを構築するノウハウがない、です。この問題の解決方法は簡単です。手前味噌ですが、私の『間接業務の「見える化」セミナー』にお越しいただければすべてお教えいたします。
ここで問題なのは、追跡調査の結果相当数いることが判明した、セミナーを受講されたのに業務管理システム(AIOS)構築に着手しなかった方の存在かもしれません。構築に着手しなかった理由の83%が「業務多忙で時間が割けない」でしたが、本当の理由は「優先順位が低い」だと思います。同システムが本当に必要だと思えば、何をおいても構築に取り掛かるはずです。
私が前職在籍時に同システムを上司(部長)と研究開発し、自部署で効果を確認(「見える化」しただけで生産性1.5倍向上)した上で部課長会議席上で同システム構築を提案したことがありましたが、黙殺された苦い経験があります。結局全部門での同システム構築に着手したのは、認証偽装発覚による製品出荷無期限停止の行政処分を受け、会社存続の危機に直面してからでした。行動心理学の本に書いてありましたが、人間を行動に移すのは「これをやるといい」ではなく「これをやらないとやばい」という理由で、そのモチベーションの強さの差は実に10倍だそうです。
前述の『間接(設計)業務の「見える化」セミナー』の冒頭で貴重な時間を割いて、私自身が実際に経験した3つの悲劇(①メンタル不全者発生②健康障碍者発生③業務不良発生)についてお話しているのはそのためなのですが、追跡調査の結果を見る限りあまり効果を上げていないようで残念です。
前職でISO9001の審査員と話した際「日本人は是正処置(二度と間違いを犯さない対策)は得意なんですが、予防処置(間違いを未然に防ぐ対策)は全然ダメなんですよねぇ…」と嘆いておられました(2015年版では、ついに要求事項から削除されたようです)。間違いが起きてから対処するより発生前に対処する方が相当楽なのですが、ここら辺が人間の限界なのかなぁ、と思わないでもありません。
しかしちょっと待ってください。国内企業でも大手企業では、私の知る限り数社業務管理システム導入済みの会社があります。となると「日本人だから…」は理由になりませんね。「予算がないから…」もTMS研式ならExcelさえあればできます。作成推進者の課長さんの手間も、実は思うほど大変ではありません。
「うちは大手ではないのでマンパワーが割けないんです…」そうですか。御社を「未来の大企業」にする第一歩として、業務管理システム構築ほどふさわしいプロジェクトはないと思うのですがね。皆さんご自身でお勤めの会社を大きくできたとしたら、会社員生活もさぞ楽しいものになると思いますが? 「そんなこと一社員の分際で本当にできるんでしょうか?」故人曰く「千里の道も一歩から」と言いますが、その一歩こそ自部署のAIOS作成なのです。もし途中で心が折れそうになったら、セミナーの最後に紹介した言葉(添付⑩講義のエンディングのP2)を一日三回復唱してください。
御社が『業務管理システム』を構築しない理由はなんですか?