⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第50号

御社設計部門のマネジメントは本当に機能していますか?

  私の愛読書『日本軍小失敗の研究』によると、日本は発注者(軍部)が他国に比べ異常に強く、設計者はその無理な要求に泣かされていたとあります。名設計者堀越二郎氏の傑作『ゼロ戦』も速度・旋回性・航続距離すべてにライバル機を上回る性能を要求され(しかも顧客要求事項の優先順位なし!!)、その上重武装という無茶苦茶な要求のもとに設計されました(その結果防弾装備なしとなり、多数の搭乗員が死亡)。

 その昔私が施工に関わった某ビルの通信配線工事も、明日入居するフロアの机の配置図が前日の夕方に施主から手渡され、その後レイアウトを設計し電線とハブスイッチ・コネクタを敷設するという日々が二週間続いたことがありました。徹夜で敷設し、完了と同時に引越し屋が搬入開始なんてこともありました。ひどい話ですよね。

  これぐらい顧客が強い風土だと、設計部門は常に残業・休日出勤を強いられます。また設計者間に「顧客の無理難題に応えるのが我々設計者の使命」といった諦めにも似たムードが支配的となってきます。「できません」と言えない状況は、ある程度まで人や組織を育てる(鍛える)面は否定しませんが、昨今の設計部門を取り巻く状況はもはやそんなレベルをはるかに超えているのではないでしょうか?(添付『①設計部門の現状おかれている状況』参照)。

 そもそも残業・休日出勤が常態化している段階で、設計部門の組織マネジメントがまともに機能していないと言えます。そんな組織では添付『①-1【管理職編】こんなことでお困りではないですか?』にあるような問題が顕在化しています。

 そんな設計部門に『最後通牒』とも言えるのが、現在政府が推進中の『働き方改革』です。いままで事実上の青天井だった残業時間に上限が設けられ、違反した会社には公共事業への入札停止処分という厳罰があります。あきらかに『時代』は変わりました。

 私がこんな話をすると、次のように反論する方がいます(以下Q&A形式)。

Q.1 我々設計者が滅私奉公して頑張っているから、日本の製造業は成り立っているんじゃないですか?
 
A.1 本当に「長時間労働」は「優れた製品設計」の必要条件なのでしょうか? もし「その通り!!」というのなら、半世紀以上前から日本人の三分の二の労働時間のドイツの工業製品が優れている理由をお教えてください。
 
Q.2 「高度に知的な仕事」は『働き方改革』の規制の対象外になると聞いています。我々設計部門は、本件に対処しなくても大丈夫なのではないでしょうか?
 
A.2 それは良かったですね。でもちょっと考えてみてください。平成が終わろうというこの時代に、そんな昭和丸出しの部署に配属を希望する若者がいるのでしょうか? ちなみに「自分ファースト」というのが最近の若者の本音だそうですよ。
 

 現在総務(管理)部門では前述の『働き方改革』に対応すべく、必死に対応策を探しています(その証拠に私の『総務・管理部門』の「見える化」セミナーはおかげさまで盛況です)。以前セミナー後に某大メーカーの総務部長さんから、こんな話をお聞きしたことがありました。「今日のセミナーで対策の『核』となる業務管理システムの存在を知り、正直ホッとしました。ただ一つ気がかりなのが設計部門です。あそこに同システムを自力構築させる自信が私にはありません(苦笑)。」

 私にはこの総務部長さんのお気持ちがよく分かります。私は前職で、齢50代後半にして月200時間超の残業をしていた設計部長(高校の先輩)の身を案じ、業務管理システム(≒AIOS)のサンプルをわざわざ設計部バージョンで作成し、その自力構築を強く勧めたことがありました。

 しかし設計部長は「角さんの言うことは分かるんだけど、俺にはその時間がないんだよ…」とのことでした。その数ヶ月後、監督省庁に虚偽の書類を提出したことが発覚した同部長は懲戒免職処分となり、社を去りました(激怒した監督省庁の処分は「製品の無期限出荷停止」つまり「潰れろ!!」というものでした)。

 そんな私から、設計者の皆さんに提案があります。私の前職の二の舞を踏まないためにも、総務に言われる前に自分達で『業務管理システム』を構築してみませんか? 部署業務の実態の「見える化」し生産性の悪い業務を改善・改革し標準化すれば、業務生産性3倍向上も決して夢ではありません!!

 『設計部門の「見える化」』セミナーでは、そんな志を持った設計者の皆さんにお会いできることを楽しみにしております。

 御社設計部門の組織マネジメントは本当に機能していますか?

 

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