⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第64号

御社は従業員のことを真剣に考えていますか?

 私の趣味(ライフワーク)の一つである『戦争研究』もすでに40年を超え、書籍も書架3本を埋め尽くし、もうあまり勉強することも残されていない気になっていました。ところが先日東京駅の本屋で『日本軍兵士 – アジア・太平洋戦争の現実』という新書を見つけ、久々に戦争関連の本を購入しました。著者は吉田裕氏(日本近現代軍事史学者)といい、1954年(戦後)生まれの方です。中公新書から発刊され、すでに10万部を突破しているとのことでした。

 なぜ私が同書を購入する気になったかと言うと、同書が最前線で戦った兵士の観点から書かれていたからです。軍事戦略や作戦(戦闘)、歴史や外交政策、兵器(技術史)の観点から書かれた本はそれこそごまんとありますが、実際に戦場で倒れていった兵士の側に立った本は非常にまれです(私の書架にもほとんどありません)。

  同書には劣悪な環境の下、絶望的な戦いを最前線で強いられた兵士のことが、食事・被服・病気・処遇等の卑近な観点から語られています。これを読むと、当時の時代背景や経済状態を加味して考えても、日本軍とは相当なブラック企業であったと言わざるを得ません。なかでも一番悲惨といわれる歩兵(平均体重54㎏)は、40~50㎏の荷物(食糧・兵装)を背負って、徒歩で移動です。これでは戦う前に疲れ果ててしまいますよね。

  また古参兵が新兵を憂さ晴らしの対象とし、自殺に追い込んだことも書かれています。もっと酷い事例では、木の棒(『精神注入棒』)で明らかに撲殺されことが判る兵士の遺体を、検死した軍医が口をつぐんだケースもあります。古参兵を上司、新兵を部下(派遣社員・業者)、軍医を産業医(総務(人事)部)等に読み替えると、現在の日本企業でもこのような事例は形を変えて存続していませんか?

 こんな無茶苦茶な組織が存続しえたのは、当時「産めよ、増やせよ」との号令のもと出生率を高めていたからです。その昔、人命の価値はとても軽かったのです。

 しかし敗戦から70数年たった今、時代は変わりました。少子化が国家存続を危うくする状況下、各企業間では良質な日本人の争奪戦が繰り広げられています。明治維新から敗戦まで虫けらのような扱いだった兵士(従業員)が減ったことにより、就職戦線は従来の買い手市場から売り手市場に変わりました。きつい割に処遇の良くない業界では、すでに人財難による廃業や事業縮小が始まっています。

 このようにかつては弱者(会社に選ばれる側)だった従業員が強者(会社を選ぶ側)になった現在、『働き方改革』は経営戦略の一部となりました。これから先①良い従業員を採用したい ②良い従業員の離職を防ぎたい、のであれば同業他社に先んじて『働き方改革』を実施する必要があります。他社より遅く実施したのでは意味がありません。その頃、御社が採りたいと思うような優秀な日本人はもう残っていません。

 そして御社が『働き方改革』に真剣に取り組んでいるかどうかを、世間や労働基準監督署より厳しい目で御社従業員やその家族が見ていることを決して忘れないでください。『働き方改革』成功のポイントは、『政府の要求事項を満たす』プラス『従業員に働き甲斐を与える』ですよ。お忘れなく。

 御社は従業員のことを真剣に考えていますか?

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