⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第104号

御社はアフターコロナに生き残れますか?

 現在17歳になる娘は、3歳からバレエ、4歳から音楽教室に通わせました。私に似ず小顔でやせ型、手足がスラリとした娘は、「Nちゃんはバレリーナになるために生まれてきたみたいねぇ」と他の生徒さんのお母さん達から、うらやましがられていました。しかし運動神経ゼロの両親のDNAを受け継いだ娘は、踊りの最中突然転倒したりして仲間から失笑を買っていました。そんな娘を見た先生は深いため息をついていました(苦笑)。

 息子の空手教室のN先生によると、習いごとの先生には共通の悩みがあるそうです。幼稚園・小学校と一生懸命教えてやっと半人前になった中学生の段階で、生徒が習いごとを辞めてしまい、部活動に入ってしまうのです。この「12歳定年制」の厚い壁に我々は皆泣かされているんですよ、とのことでした。

 娘のバレエ教室は毎年生徒数が減少していました。最初に入れたI先生の教室は、娘が3歳の時は20人でしたが、10歳になった時は4人になっていました。見かねた私は無料で集客コンサルを申し出ましたが、断られました。教室存続の危機に際し、I先生は「座して死を待つ」選択肢を選びました。ご主人のいるI先生にとってバレエ教室は趣味だったのでしょう。娘を他の教室に移籍させた2年後、教室は消滅しました。

 移籍した教室のM先生は日本でモダンバレエを習得後、カナダ・メキシコでプロダンサーとして活躍された方で、英語・スペイン語がペラペラの才女でした。またシングルマザーでしたので、教室経営に対する真剣度がI先生とは全然違います。こちらも毎年生徒数が減っていると聞き、コンサルを申し出たところ、二つ返事で「お願いします!!」とのことでした。コンサル料は授業料と相殺という契約で、いよいよコンサル開始です。

 第1回は、先生のバレエに対する想いと教室運営上のお悩みについてお伺いしました。そして次回の課題として、今いる生徒25人が5年間で何人になるか表を作成してもらいました。一週間後の第2回、自宅に現れた先生は開口一番「角川さん、この課題は私にとってとても恐ろしい課題でした」とおっしゃりました。「ご指示の通り、今6年生の子が来年全員辞める前提で表を作成したところ、私の教室は5年後たった4人になることが分かりました」

 それに対して私はこう言いました。「M先生、残念ながら教室は5年も持ちませんよ。バレエ教室は、年1回の発表会が生徒のモチベーションの源ですよね?」 「私の知見では、発表会は最低20人いないと「ショー」として成立しません」 「1チームが踊っている5分間に、他の3チームは次の衣装に着替えますよね?」 「つまり先生の教室は25人生徒さんがいる現在、何か手を打たなければ手遅れになるということです」

 M先生の顔面から血の気が引き、蒼白になりました。先生には来年大学進学を控えたご子息がいたからです。「角川さん、良く分かりました。私はどうしたらいいでしょうか?」 敬虔なキリスト教徒でもあるM先生に私はこう言いました。「聖書の言葉に「神は自ら助くるものを助く」とありますが、先生は座して死を待つようなことはありませんよね?」 「私にはまだまだ金のかかる息子がいますから、そんなことはありません!!」

 M先生の意思を確認した後、私と先生で考えた生き残り策は下記の通りです。

① 他の先生にないM先生の「強み」を活かす強烈な差別化策として、レッスンはすべて英語・スペイン語で行う。
② この町ではマーケットが弱いので、景気に左右されにくい自衛隊基地近辺や、所得の高い「茨城都民」の多いつくばエキスプレス沿線に新教室を展開する。
③ ホームページのブログで、バレエ情報やM先生の体験談を定期的に発信する。
④ 生徒さんに生徒を連れてきてもらう『生徒さん紹介制度』を導入する。

 M先生は上記①~④をすべて実施し、少子化と家計ひっ迫という二大要因による「バレエ教室存続の危機」を見事に乗り越えられました。ご子息のK君も大学を無事卒業し就職、来春には晴れて結婚されるそうです。一方最初にお世話になったI先生の教室は、無為無策の末に消滅しました。M先生とI先生の違いは「近い将来、自分
の教室に起きる「不都合な真実」を直視する勇気」の有無だけでした。M先生はこの「不都合な真実」を受け入れたからこそ、生き残り策を即実行に移せたのです。

 「けっ、バレエ教室なんて俺には関係ねぇや!!」という方には、次の事例で説明しましょう。皆さんが人間ドックで所見が見つかり、「このままの生活を続けると、5年以内に心筋梗塞or脳梗塞のいずれかが80%の確率で発症し、その処置が30分以内に実施されなかった場合、98%の確率で身体に障害が残ります」とお医者さんに告げられたらどうしますか? もしあなたにまだ学生のお子さんがいたら、お医者さんの指示を100%、いや120%実施するのではないでしょうか?

 私は今までにコンサルを7件経験し、今のところ成功率100%です。業種・業態・会社規模がすべて異なる7つのクライアントの指導に成功した理由は簡単です。数値データによる現状把握を最初に実施し、現実の直視を拒むクライアントのオファーはこちらからお断りしているからです。ただそれだけです。

  過去のクライアントはすべて自社の「不都合な真実」を直視してくれましたが、これは結構勇気のいることです。従業員アンケート集計結果を手にした社長の顔面がみるみる蒼白になるのを、私は何度も目撃しています (おそらくその夜は眠れなかったでしょう)。

 しかし7名の社長さんは全員、従業員から突き付けられた「不都合な真実」を、ご自身の至らなさに起因するものと謙虚に受け入れました。そして私のアドバイスに真摯に耳を傾けて、一緒に考えた対策を直ちに実行しました。そうして経営環境に左右されない盤石の経営基盤を築いた今日、コロナ不況下でも利益を上げています。

 コンサル成功率100%の秘密とは、「不都合な真実」の原因 (組織マネジメント不良)が社長ご自身にある、という結論を受け入れる度量のある経営者のオファーしか受けないことにあります。個人的には 「私のコンサル技術が他の先生に比べ格段に優れているから」と思いたいところですが、冷静に分析するとこれが結論です。

 ちなみに私の指導は、下記のワンパターンです (カッコ内は実施目的)。

  1. 数値データによる現状把握 (「不都合な真実」の定量的な「見える化」)
  2. アンケート結果報告会開催 (「不都合な真実」の共有化による臨戦態勢構築)
  3. トップダウン活動による組織マネジメントシステム構築 (不都合の7割が解決)
  4. ボトムアップ活動による快適職場実現 (従業員の「やらされ感」発生防止)
  5. 全業務のマニュアル作成
  6. 担当者間・月間・部署間の業務負担の平準化 (定時間外労働時間の極小化)
  7. 業務目的体系表作成 (組織の「本来あるべき姿」の「見える化」)
  8. 実態と「あるべき姿」の比較対照による業務の抜本的ムダ取り (生産性向上)
  9. 業務改革・改善 (生産性向上)

 上記①~⑨で業務生産性は平均300%向上し、従業員のスキル・モチベーション・定着率の全てが向上します。1950~70年代に経済学の二大主流の一つだったマルクス経済学の観点から見ると「生産性300%向上=労働強化」に他ならないのですが、なぜ上記①~⑨のコンサル手法は従業員からも喜ばれていると思いますか?

 理由は簡単です。アンケート結果報告会開催により、従業員にも「不都合な真実」を開示し、経営者と会社存続に対する危機感を共有してもらっているからです。そうして全社一丸となる臨戦態勢を築いてから、共に練り上げた対策を実施しています。ですからトップダウン推進による組織マネジメントシステム構築にも心から協力してくれますし、職場の5Sによる快適化は自ら実施してくれるのです。

 ここで上記①~⑨を見て「うへ~、こんなにやることがあんのかよ。活動の進捗管理をする自信が全然ない!!」という方にお知らせです。計画進捗管理ツール『APIOS』を使用すれば進捗管理は不要となり、事務局の負担が激減します。

 上記①~⑨の各プロセスの実施前には関係者を集め社内セミナーを開催し、関係者の「同意」と「納得」を得たうえで実施します。「セミナー」 → 「実施」 → 「チェック」 → 「フォロー」サイクルを9回転させることにより御社の間接業務の生産性は、1年後170%、2年後240%、3年後300%向上します 。

 前述の通り、私の専門分野は組織マネジメント (文末の【注】参照) ですので、会社の業種・業態・規模は一切不問です。社名は明かせませんが現在オンラインで、ある分野で世界的なシェアを誇る某メーカーを指導中です。同社の事業部長 (専務) さんも『アンケート結果報告書』を読んだ時には手が震えた (本人談) そうですが、現在はプロジェクトオーナーとして事務局を強力にご支援いただいています。

 アンケート結果報告会に居残り、自ら志願してくれた7人のサムライ (改革チーム)と月2回オンライン会議でやりあっていますが、やる気に満ちた彼らを指導できるのは、コンサル冥利に尽きます。社内コンサルとして成長著しい彼らが、私から巣立つ日もそう遠い先ではないでしょう。同社の将来が明るいものであることは、私が自信を持って保証できます。

 御社はアフターコロナに生き残れますか? 

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