⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第80号

御社の『人財育成』に対する考え方は、根本的に間違っていませんか?

 角川一族は学校の先生の他、医師や獣医、士業や議員、教会の牧師等、世間で「先生」と呼ばれる職業の人も含めると、実に30%以上が先生業に従事しています。そんな家系に生まれたせいか、私も学生時代から人にものを教えるのは好きでした。

  色々な職業を経験する過程で、教わる側として導入教育を何度も経験しました。また前職(中堅部材メーカー、従業員数700人)で総務部在籍時には、新人教育と安全衛生教育を、品質管理室在籍時はQCサークル教育、5S教育、改善教育を担当しました。社外セミナーも積極的に受講したものです。

 このように社会人となってからも教わる側と教える側を人一倍経験した私ですが、ある時から「学校教育と社会人教育の違い」について考えるようになりました。ここで目を閉じて、皆さんも両者の違いについて考えてみてください。

 本件についての私の考えは次の通りです。

 学生にとって勉強は本業(仕事)なので、学校教育は比較的強制力がある。それに対し社会人の本業はあくまで仕事であり、勉強はどうしても二の次となる。したがって学校教育と同様に「勉強をやらせる」方法は成果が上がらない

 皆さんのお考えはいかがだったでしょうか? ここで私が今までに見てきた『社会人教育ダメパターン』を、程度の悪い順番に列挙します。

  1. 教育予算消化等、教育自体が目的化しているケース。
  2. 繁華街の街頭で大声で歌う、真冬の滝行等、教育される側にとって実施目的が不明な(納得できない)ケース。
  3. 教育が場当たり的で、体系的な人財育成になっていないケース。
  4. 教育効果について事後検証していないケース。
  5. 学習成果の最大化を怠っているケース。

 いかがだったでしょうか? 皆さんの会社の社員教育で、該当するものはありませんでしたか? 以下、ダメな理由について簡単にコメントします。

  1. 「教育」は目的ではありません。目的を達成するための一手段です。
  2. 目的が明確で受講者に納得できるものでない限り、教育効果は出ません。
  3. 教育にも「戦略(体系)」が必要です。「戦術」だけでは人財は育ちません。
  4. PDCAサイクルがDで止まっています。検証するかISO9001を返上してください。
  5. いいことを学んで来たら、それを社内拡散し共有化してください。費用対効果の最大化を図らないのでは「営利企業」ではありません。

 「あの~、角川先生。本日も角川節がさく裂中のところ申し訳ないのですが…」

 「おや? 謎の読者様、お久しぶりです。お元気でしたか?」

 「実は私、今年から教育担当になったのですが、前任者から引き継いだ業務がまさしく上記①~⑤で途方に暮れている有様でして…。私は一体どうしたらいいでしょうか?」

 「ほほう、あなたが教育担当者に…。どうりで言葉使いが上品になったと思いました(笑)。それではリクエストに応えてお教えいたしましょう」

 社員教育は①技術(スキル)教育 ②人財教育、の2つに分けられます。①は危険物管理者やMS office検定等、技術習得を目的とする教育です。対して②は管理職研修等、ものごとの考え方や見識向上を目的とした教育です。ここではより問題がある②人財育成について説明します。

 管理教育や母親の過干渉による自主性の喪失やマニュアル依存症等により、現在会社には上司の指示がないと動かない『指示待ち人間』が増えています。そこで自ら問題を発見し、対策を立案・実行する『自立型人財』の育成が急務となっています。

 急務だからといって、教育の押付けはダメです。娘の通っていたヤマハの音楽教室には全国大会にも出場する『神ファイブ』と言われる生徒さんがいましたが、中学生になり第二反抗期に入ると全員音楽を止めました。その子たちの父兄と話したことがありますが、全員すごい入れ込みようでした。「音楽は「音」を「楽しむ」と書くのに、あの子たちは「音」で「苦しんでいる」ね、パパ」と娘は申しておりました。子供だって『押付け教育』の結果は無残です。まして社会人にそれをやったら…

 私の推奨する『成果の上がる社会人教育プロセス』は次の通りです

  1. 従業員アンケート』で従業員の職場における悩みやお困りごとを「見える化」する。
  2. 「見える化」したお悩み解決活動(ボトムアップ活動)を立ち上げる。
  3. 活動する過程で自分達に不足してスキルや見識に気付く
  4. 自主的に勉強(自己啓発)するようになる。

 社会人に勉強してもらうには学習目的が明確であることが最低条件で、その目的が自分のため(仕事が楽になる、昇進に繋がる等)ならベストです。「ある目的を達成するための手段として勉強する」という形にもっていくことが重要です。

 学生時代を振り返って「いい先生だなぁ」と感じた先生は、いきなり授業に入らず、今日やる内容の学習目的の説明から入りませんでしたか? 私が「見える化」セミナーの冒頭で本題に入る前に「組織マネジメントシステム不在の恐ろしさ」について30分以上お話ししているは、受講者の方に本日のセミナー受講の意味(目的)を強烈に認識してもらうためです。

 人財育成に関する私の考え方は「社会人教育は自己啓発がベスト」というものです。そして教育担当者のすべきことは ①自己啓発ニーズの顕在化 ②自己啓発したくなる環境整備、の2点です。要は「従業員を勉強する気にさせる」だけです。詳しくは、添付『人財育成システムの説明』をお読みください。

 日本は先進国中教育費が最下位の国です。世界の陸地のわずか0.3%の狭小な国土(しかもその内80%は山林)、主な天然資源は石灰岩以外ほぼ全量輸入というこの国の資源は人財しかありません。その人財が今、少子高齢化と教育の劣化のダブルパンチで量・質共に枯渇しかかっています。

 「人財育成(未来への先行投資)」に今いくら金を使うかで、御社の未来は決まります。ブラック企業とホワイト企業の見分け方は簡単です。会社予算中の教育費の割合を見れば一目瞭然です。ブラック企業の正体とは、今やらなければならないことを怠って、今期の決算書の数字を良くしている会社です(未来を先食いしている、とも言えます)。
 
  一番費用対効果(=生産性)に優れる人財育成方法は、社員一人ひとりが業務を通じて成長(自己啓発)できるシステムを構築することです。

 御社の『人財育成』に対する考え方は根本的に間違っていませんか?

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