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メルマガ第111号

御社に「熱意にあふれた社員」はいますか?

 私が読んだセミナーテキストの著者は『なぜ会社は変われないのか?』(1998年、日本経済新聞社)で有名になった組織風土改革の専門家、柴田昌治さん(スコラ・コンサルト㈱ 創業者)です。2/19(金)に開催される同氏のオンライン講演会に申し込んだところ、メールで事前にテキストが送られてきました。

 素晴らしい内容だったので皆様に現物をお見せしたいのですが、それでは著作権侵害になってしまうので、以下箇条書きでそのエッセンスだけでも皆様にご紹介します。

1. 内容
① 「熱意あふれる社員」が異常に少ない日本
全体のわずか6%(世界平均15%、139ヶ国中132位)(2017年、米ギャラップ社の調査結果による)
② 日本企業の社員の現状
不平・不満や疑問、違和感はあるが、意見を言う場や、仲間とともに考えあう機会はあまりない。すぐに困るわけでもないときは、黙々と仕事をこなす。自分の仕事を「どうやるか」のみ考え、問題を感じても見て見ぬふり。誰もが、根本的な問題解決への方策が見えないまま、目の前の仕事に漫然と追われる毎日
→ かつての勢いを取り戻すには「あきらめとマンネリズム」を打開する。
→ 現実から逃げない「当事者意識」を持てるか否かにかかっている。
③ 生産性・給与の伸びが低い日本
1990年当時G7諸国の一人あたり購買力平均GDPはほぼ同額だったが、30年後他国が3~2.5倍伸びたのに対し、日本は2倍にとどまっている(経済破綻国家イタリアより下)。労働生産性上昇率は唯一マイナス成長。また他国は平均賃金が上昇しているが、日本とイタリアは30年間横ばいで推移している。
④ 【調整文化の特徴】
失敗はしてはならない。問題はあってはならない。誰が言ったことか、が重要視される。評論家・傍観者意識。立場をわきまえている部下を評価。
⑤ 【挑戦文化の特徴】
人間は失敗する生き物。問題は起こるのが当たり前。あるがままの事実を大切にする。当事者意識が強い失敗を恐れず挑戦し、失敗から学ぶ能力を持った部下を評価する。
⑥ 「調整文化」が組織内で優勢になると、諦めとマンネリズムが蔓延する。「調整文化」が過剰になると事実より建前が優先され、思考停止が起こる。また問題の先送り・延命治療が習い性となる
⑦ 思考停止の根本原因は、「答え」を見つける訓練しかしない日本の学校教育にある。その結果、脳に汗して考える習慣が身につかない。それに対し欧米では、頭を使ってゼロから発想する教育を行っている
日本を立て直すには「調整文化」から「挑戦文化」に変えるしかない。そのためには、志(想い)を持って仕事する人間を増やすことが重要。「志を追う」行為は、人間を人間らしくしていく行為。誰でもその意思さえあれば志(夢)を持てるようになったのは、人類の長い歴史の中で実はごく最近のこと。
⑨ 「考える習慣」を身に着けることから「挑戦文化」への転換は始まる。そのためには、会議と飲み会の中間に「まじめな話を気楽にする」場を設ける必要がある。
日本復活の切り札は日本人の強みである「共感力」。「共感力」+「頭を使う習慣」で、高度成長期と同じ「挑戦文化」を持つ日本型組織になる。
⑪ 挑戦には大きなエネルギー、情熱が必要。自分なりの軸(強み)を持ち、夢に近づくのが「挑戦文化」。一人でなしうる挑戦は限られている。挑戦には仲間との連携が必要不可欠。
2. 所感
① 柴田氏の主張には全面的に賛同する。前職で私がやってきたことであり、人生を肯定された感がある。また前職で私が苦労した理由が「調整文化」の支配する組織で「挑戦文化」を貫こうとした点にあったことが判明した。
② 「熱意あふれる社員が6%しかいない」という指摘も、改善報告活動事務局を務めた私の経験から、まさしくその通りと思う。パレートの法則によれば、本来20%程度存在するはずの「熱意あふれる社員」がここまで減少した事実に、日本経済の長期衰退減少の遠因を見る。その真因は「やりがい」の喪失にあると考える。
③ 思考停止の原因が日本の学校教育にある、という指摘も全く同感である。日本人ノーベル賞受賞者の大半が、欧米の大学に留学経験を持つことからも証明できる。日本の学校教育からは、上司の命令に素直に従う「いい子」しか生まれない。これで欧米に勝てるはずがない。
④ 「100年に一度の経済危機」に直面した今、日本の組織文化である「調整文化」がこの国の経済成長の阻害要因となっている。また従来の暗記中心の日本型学校教育も、根本から見直す時期に来ている。
⑤ 「挑戦文化」への転換の必須要件とされている、会社への「不平・不満・疑問」の「見える化」および共有化は、無記名式従業員アンケートを実施し、全員を一堂に会し集計結果を報告すれば実現可能。
⑥ 「熱意にあふれる社員」はアンケートの自由筆記回答を見れば、その存在を確認できる。結果報告会の後に会場に残ってもらえば、特定も可能。
⑦ 結果報告会で「なんだ、俺以外にも同じことを思っていた人がこんなにいるんだ~」「俺一人だったわけじゃないんだなぁ」「まだ捨てたもんじゃないぞ、この会社も」等の「共感力」も増強できる。
⑧ 「当事者意識」「考える習慣」を社員に定着させるには、自力で問題点を発見し対策を立案・遂行する「改善報告活動」が有効。「熱意にあふれる社員」も特定できる。
⑨ 「挑戦には大きなエネルギーが必要」なのも事実だが、これが挑戦しようとする人には大きな心理的障壁となっている。この障壁をぶち抜くには、従業員アンケートを実施し、従業員の「本音」を直視するのがベスト。「実態のひどさ」を目の当たりにすれば、志(夢)のある人なら「俺がやらなくて誰がやる!!」という気持ちになり、腹をくくるからである。
⑩ 「調整文化」の負の側面である評論家・傍観者化も、AIOSを作成し組織マネジメント不良の実態を数値データで「見える化」すれば、課長に当事者意識が芽生える。「挑戦文化」の前提条件である「事実を事実として受け入れる」からである。
⑪ 以上、柴田氏と私のメソッドの親和性は非常に高い。柴田氏の考える「日本企業のあるべき姿」を実現するツール(従業員アンケート、AIOS、改善報告活動、ボトムアップ活動等)を私が持っているからである。また同氏が奴隷制度や植民地経営を基盤とする欧米流マネジメント手法に影響されておらず、日本組織独自の強みを大事にしている点にも強く共感を覚える。
⑫ 前述の理由により、柴田氏創業のスコラ・コンサルト社と、TMS研の業務提携によるシナジー効果は高いことが予想される。同社HPより、アプローチすることとした。

 以上がセミナーテキストのダイジェストおよび私の所感となります。皆さんはどのように感じられたでしょうか?

 「100年に一度の経済危機」の渦中にある今、今年いっぱい持つのかも怪しい会社が全国に大量に出現しています。会社存続の危機を前に、経営者以下全員が途方に暮れているのが現状です。しかし皆さんは、私のセミナーやメルマガからこの危機を打開するノウハウを学んでいるはずです。

 「一担当者だから…」「上司が同意しないから…」「中途採用だから…」「女性だから…」等はすべて「できない理由」ではありません。「やらない言い訳」です。前職が法令違反発覚でつぶれかけた時、常務の特命で全課長にAIOS作成を指導し会社を救った私は、中途採用の平社員でした。

 先日、土浦市の商店街でお茶屋の店主(おばあさん)が、入口前に置いた椅子に腰掛け、誰も歩いていない商店街をうつろな視線で眺めている光景を目にしました。彼女の人生で経験したことのない事態に、茫然自失状態のその様子は、まさしく「座して死を待つ」姿でした。

 会社存続の危機への打開策をご存じの皆さんが、当事者意識を持って挑戦されることを切に祈ります。今やらなくて、いったいいつやるんですか?

 御社に「熱意にあふれた社員」はいますか?

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