⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第106号

あなたは 「アンケート」 に絶望していませんか?

 当メルマガにしばしば登場する私の前職での上司(部長)は、長らく労働組合執行部を務めたお方です。長らく不況が続き会社が早期退職を実施した時に、委員長でした。その後管理職に昇進し、最後はISO9001の管掌部署である品質管理室長でした。私の自宅から車で5分足らずのところにお住いのため、現在TMS研の顧問をお願いしております。

 その元上司が先日こう言いました。「この間の『臨戦態勢構築セミナー』だけんどよ、よく11人も集まったなぁ」 「角川さんがやる気満々だったから水を差しちゃ悪いと思って言わなかったけどよ、あれって結局アンケートセミナーだろ?」 「正直言って『アンケート』って聞くとよ、何一ついい思い出がなくってよ…」

 元上司は労働組合執行部時代、例年春闘の団体交渉前に組合員に会社に対する不満や要求事項に関するアンケートを実施した経験があります。またISO9001の管理責任者時代は、規格要求事項である『顧客満足度(ES)調査』を毎年実施したご経験をお持ちです。

 「毎年やってるからほとんど期待はしてねぇんだけどよ、やるたびにほとほと情けなくなるような意見や要求事項ばっかりでよ…」 「アンケートに書きゃ組合がやってくれんだっぺ?、ちゅうお気楽な組合員と、「なんだ、この要求は!! 組合は会社をつぶす気か!! 馬鹿も休み休み言え!!」ちゅう経営者との板挟みでよ…(涙)」 「毎年春闘が近づくと、俺も頭が痛くなったもんよ」

 「その俺から見てよ、「アンケート=ダメツール」っちゅう認識が、世間様のデファクトスタンダード(暗黙の了解)なんじゃねぇかと思うわけよ」 「案内チラシをよく読みゃ、アンケートセミナーって分かる『臨戦態勢構築セミナー』によく11人も来たと思ってよ」

 とまあ、はっきり言ってクソみそのご評価でした (笑)。しかし、当研究所顧問のおっしゃることも分かります。『臨戦態勢構築セミナー』の受講者のニーズを聞いてみると、自社で従業員満足度(ES)調査を実施して失敗した方と、これから実施予定の方が8割でした。つまりアンケートにまだ希望をお持ちの希少(?)なお方がお集まりいただいたというのが、このセミナーの実態でした。「ひょっとしたら100名を超える受講者
が殺到するのでは?」 という私の甘い予想を裏切り、11名しか受講者が来てくれなかったのも、アンケートに対する世間の期待度の低さの証明なのでしょう。

 ところで世間の認識の通り、本当に「アンケート=ダメツール(オワコン)」なのでしょうか?

 メルマガ第104号でお伝えした通り、今のところ私のコンサルティングの成功率が100%の理由は、コンサル前に無記名式の従業員アンケートを実施し、従業員の「本音」を定量的に把握することから始めるからです。また私が講師生存率が極めて低いセミナー業界で曲がりなりにも10年間生き延びられた理由は、受講者アンケートに私の至らぬ点をお教えいただき、それを改善し続けたからです。『アンケート』とは私にとって、なくてはならない武器なのです!!

 世間の認識と私の認識に天と地の開きがある『アンケート』ですが、一体何がこの開きの原因なのでしょう? 実は15年前まで私も「アンケート? そんなもの無意味じゃね~の、けっ!!」と思っていました。そんな私の認識を根本から変えてくれたのが、某社の『ストレスチェックテスト』でした。

 当時、前職ではメンタル不全者が多発し、大変な事態となっていました。会社合併後お約束のリストラで社員の実に三分の一を切り、業務量に対してマンパワーが過小となり、私の上司であった総務部長(兼課長)もメンタル不全で休職するという非常事態に陥りました。安全衛生委員会事務局である私は、この問題の担当者でした。

 最初に親会社の安全事務局を訪ね、見せてもらったのが同社の産業病院の院長O先生の作ったアンケート用紙でした。質問は全10問で、問1は「最近、死にたくなったことがありますか?」でした。「ダメだ、こりゃ」と思った私はネット検索で東京の某社を発見し、早速同社を訪ねました。

 そこで前述のO先生のアンケート用紙を見せると、同社専務のKさんは笑ってこう言いました。「角川さんは、お医者さんを何者だと思っていますか?」 「お医者さんは医学の専門家で、アンケートに関しては素人です」 「アンケートのことは、アンケートの専門家である我々に聞いてください!!」

 言われてみれば確かにその通りです。その後受けたK専務のレクチャーはまさしく「餅は餅屋」という言葉がぴったりでした。K専務の教えを要約すると、次の通りです。

  1. 「建て前」が好きな日本人から、その「本音」を引き出すのは至難の業。
  2. 「本音」を引き出すには、アンケートの書式と実施方法がカギとなる。
  3. 書式は大量の二択質問+自由筆記回答とする。
  4. 回答は社外の第三者機関に提出してもらう。

 また上記③については、下記の通り説明していただきました。

「本件は「ナンパ」で説明するのが一番わかりやすいです」
「気になる娘がいて、その娘と付き合うまでのプロセスを考えてみてください」
「アプローチ後に、お茶、食事、映画、遊園地、自宅招待とプロセスを踏むのが一般的ですよね?」
「野球だって三振に打ち取るにはボール球を交え、投球を構成するでしょう?」
「アンケートのプロである私から見て、この医者の考えたアンケートの問1は、女性をいきなりホテルに連れ込むような乱暴な質問です!!」
「これでは女性と仲良くなるどころか、下手すると警察に突き出されてしまいます!!」

 私は思わず吹き出してしまいました。Kさんによると、アンケートには「アンケート設計」という分野があり、しかるべきプロセスを経れば回答者は思わずその本音を漏らす、とのことでした。そのプロセスこそ大量の二択質問だそうです。質問を読み「はい」「いいえ」のいずれかに○をつける作業を繰り返しやらせることにより、回答者の警戒心を解きます。50問ある二択質問の内、重要なもの(ストライク)は最後の10問にあります。その前の40問は「ボール球」という訳です。

 さんざんボール球を投げられた打者(回答者)は「こんなに色々と聞いてくるけど、俺が本当に言いたいことがひとつもないじゃないか!!」と怒りに任せて、自由筆記回答欄にその「本音」を書いてくる、という仕組みだそうです。ほとほと感心しました。

 またアンケート回答の提出先が上司でない理由は「角川さん、メンタル不全の主原因は直属の上司ですよ? その上司に提出するやり方で、部下が本音を言うと本気でお考えですか?」 この回答に脱帽した私は、その場で同社にメンタルチェックテストの業務委託をすることを決意しました。
 
 また、従業員が安心して「本音」を言える実施方法(環境作り)は以下の通りです。

  1. 組織トップによる「アンケート実施目的」の説明
  2. 就業時間内に一斉実施
  3. 回答をその場で封筒に入れ閉じたうえで、宅急便で第三者機関に送付

 これでOKです。あとは第三者機関が集計・分析した集計結果の到着を待ち、従業員を一堂に会し『結果報告会』を開催すれば、会社に対する不安・不満・提言が組織全体で共有化できます。その結果、会社存続の危機に立ち向かう『輪生態勢』が一瞬にして構築できるという訳です。

 現在『100年に一度の経済危機』を前に、多くの会社で経営者・従業員双方が不安や恐怖にとらわれています。戦う前から心が折れているようでは、たとえ勝機があったとしても勝てるわけがありません。御社がアフターコロナに生き残るためのファーストステップとして、従業員アンケートに勝る方法は私は知りません。「たかがアンケート、されどアンケート」です。

 あなたは「アンケート」に絶望していませんか?

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