⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第146号

あなたは自社に潜在する「第三の収益源」にお気づきですか?

 会社の利益率を向上させるには①入金(いりがね)を増やす ②出金(でがね)を減らす、の2つしかありません。言葉を変えれば、①売上増大 ②経費削減となります。会社経営の根本原理は、実にシンプルです。

 また会社には通例複数の収益源があります。第一の収益源は本業によるもので、製造業なら製品、サービス業ならサービスを提供する対価として支払われるお金がそれです。第二の収益源は資産運用によるものです。資金運用(投資・金利)や不動産運用(賃貸・売却)から生まれる運用益を指します。

 ところで皆さんは、日本企業と欧米企業の利益率をご存じでしょうか? 全業種だと、米:20%、欧州:15%、日本:3%、製造業に限定すると、欧米:10~15%、日本:5% と大きな開きがあります。その理由はいくつかありますが、その一つが第三の収益源である管理利益の有無です。

 ちなみに『管理利益』という言葉は私が作ったものなので、ネット検索しても見つかりません。そこで皆さんが理解しやすいよう、私が業務改革指導を請け負ったクライアント( 某大メーカーの品質保証部、部員数700名)の事例をもとに説明します。当事例で実施した事項および発掘・計上した管理利益の金額は、次の通りです。

【昨年度中に実施したもの(実算)】

会議の5S (報告・連絡が目的の会議を禁止) → 7億円/年
組織編成替え (人事異動による部署間の業務量平準化) → 1億円/年

【今年度に実施予定のもの(試算)】

業務のムダ取り (現状とあるべき姿の対照によるムダ業務の廃止) → 5億円/年
業務量平準化 (担当者間・部署間・月間の業務量の平準化) → 5億円/年
個別業務の生産性向上 (業務改革・改善) → 10~20億円/年(推定)

 これらを合算すると、実算が8億円/年、試算が20億円/年、合計28億円/年となります。しかも今回の成果は決して1年限りではありません。もし今回の業務改革(組織マネジメント革命)を実施しなかった場合、このクライアントは年間28億円ものお金(事務所埋蔵金)を取り逃がしていたことになります。その額たるや3年間で84億円5年間で140億円10年間で280億円にも上ります。同社が万人規模の大会社とは言え、この金額は決して小さなものではありません。

 この事例は700人の組織で行ったものなので、御社にどのくらい事務所埋蔵金が存在するかは、28億円÷700×御社の間接員数、の計算式で試算出来ます。

【管理利益額の試算例】
間接員数 50名 の場合 管理利益額は 2億円/年
100名 4億円/年
300名 12億円/年

 ここで、御社の本業によって年間28億円の利益を新規計上することを考えてみてください。新製品開発によって利益を上げるには①市場調査費 ②原材料費 ③設備費 ④人件費(開発、設計、製造、品質保証、物流、営業) ⑤広告宣伝費等々、膨大な経費が必要です。また新規顧客開拓によって利益を上げる場合でも、上記①②⑤+人件費(営業)が必要です。

 対して管理利益( 人件費削減 )は、組織マネジメントシステム構築費( 人件費+指導料 )しかかかりません。前述の事例では、約2,000万円( 人件費+指導料 )の投資で8億円を利益計上し、今年度10億円稼ぐ準備を完了させました。この事例で分かる通り、同額の利益を計上するなら管理利益の方が圧倒的に経費が掛かりません。経営者や経理部長の目から見ると、コスパの良い利益ということになります。

 ここで、24年前に経営危機に陥っていた日産自動車を救ったカルロス・ゴーン氏を思い出してください。同氏は「コストカッター」の異名を持ち、社長就任後に真っ先に行ったのは、村山事業所閉鎖を始めとする徹底したムダ取りでした。この事例でも分かる通り、管理利益の発掘・計上は業績回復に即効性があり、欧米のプロ経営者や経営コンサルタントの常とう手段となっています。

 日立グループや東芝グループが、利益率向上のために現在「事業の選択と集中」を実施中です( ルイス・ガースナー氏が実施した米IBMの事例が有名 )。その過程でグループから切り離された会社は投資ファンド会社が安値で買収し、組織マネジメント改革等のコストカットを実施し、高収益体質にリニューアルした後、高値で転売しています。経費削減( コストカット )の即効性と有効性が、これらの事例からもお分かりいただけるでしょう。

 ここまでこのメルマガを読まれた方の中には「人件費削減=リストラ」と考えられた方もいるでしょう。しかし、それは間違っています。組織マネジメント革命で行うコストカットは「人件費削減=残業・休日出勤手当削減」だからです。

 また「残業代がないと暮らしていけない!!」というのも間違っています。残業( 生活残業 )ばかりしているから生産性が上がらず、欧米諸国と比べ低賃金のままである、が正解です。日本と同じ第二次世界大戦の敗戦国であるドイツは、日本より年間2ヶ月も労働時間が短い( 日本 : 1,745h、独:1,393h )にもかかわらず、国民一人当たりのGDPは日本の1.3倍です。恥ずかしいですね。

 前述のクライアントはドイツに支社があり、そこに駐在する日本人社員は本社と同じ勤務日数だが、現地社員(ドイツ人)はドイツ企業と同等の勤務日数だそうです( そうしないとドイツ人が採用できないため)。悠々と1.5ヶ月のバカンスを取る現地社員に対し、たかだか一週間程度の夏休みしか取れない駐在員が同じオフィスに混在しています。この話を聞いたとき、同社の日本人社員の心情を考え、やるせない気持ちになりました。

 しかし今回、部員700名の品質保証部で大幅な労働時間削減を達成し、TMS研メソッドの即効性・有効性・汎用性を実証できた今、組織マネジメント革命はクライアントの全部署に飛び火することは疑う余地がありません。このまま順調にいけば、同社の勤務日数はドイツ並みとなり、残業・休日出勤もなくなり、高収益体質となることは間違いありません。

 近い将来、同社のドイツ駐在員の皆さんも、現地社員と同様に1.5ヶ月のバカンスを家族全員で享受できるようになるでしょう。バカンスのたびに近隣諸国でオートキャンプを楽しみ、「パパ、ドイツに来てからお休みがいっぱいあって楽しいね。日本のお友達がかわいそうになってきたよ」とお子さんに言われ、苦笑する同社駐在員の笑顔が私の目にははっきりと見えています。

 いささか長くなりましたので、ここで今号のメルマガをまとめてみましょう。

① 日本企業の利益率が欧米企業に対して劣るのは、事務所埋蔵金(人件費のムダ)を放置しているから。
② 日本人の年間労働時間が先進国中一番長いのは、労働生産性が低いから。
③ 日本人の幸福度が58位と低迷しているのは、年間労働時間が長いから。
④ すべての元凶である間接業務の低労働生産性を解決するには、組織マネジメントシステム(OMS)の自社構築がベスト。
⑤ OMSの構築・運用により、従来野放しだった事務所埋蔵金が発掘され、管理利益計上( 人件費削減 )により会社の利益率が向上する。
⑥ 会社が高収益体質に変われば給与も上がり、株価も上がる。
⑦ 管理利益の発掘・計上は即効性があり、費用対効果が非常に高い。

 現在の世界情勢はまさしく第三次世界大戦前夜( もう始まっているとの説あり )と言え、会社を取り巻く経営環境の変化を予測するのは至難の業です。こんな時期に会社のかじ取りを担う経営者の皆様の心労は、察して余りあるものがあります。しかし今回ご紹介した「第三の収益源」である『管理利益』は経営環境とは無関係で、自助努力のみで確実に得られる利益です。

 見方を変えれば、『管理利益』とは歴代の経営者がのちの経営者のために、税務署に分からぬよう事務所の床下に隠しておいた巨額の『へそくり』とも言えます。『100年に一度の経済危機』下にある今、どこにあるのかも定かでないお金を社外に探しに行くより、御社の事務所の床下に確実に存在する『管理利益』の発掘・計上に挑戦されてはいかがでしょう?

 あなたは自社に潜在する「第三の利益源」にお気づきですか?

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