⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第69号

あなたは組織マネジメント成功事例を見たことがありますか?

  私は組織マネジメントと人財育成による間接業務の生産性向上をライフワークとしている訳ですが、この2つの効果を実感するには、これらが上手くいっている事業所を訪問し、従業員の表情や動き、職場の5S状況を現認するのが一番です。

 従来、『働き方改革』のリーディングカンパニーである超ホワイト企業の未来工業㈱が私のイチ押し事業所でしたが、岐阜県大垣市まで行かなければならない点がネックでした。

  ところが先日、父の納骨式の帰路、妹と生前父がよく行っていたラーメン屋さんに立ち寄ったところ、そこが超ホワイト企業であることを知り愕然としました。そのラーメン屋さんとは『来来亭』さんと言います。

 来来亭 → https://rairaitei.co.jp/

  この店が父の住む老人ホーム近辺に出来て以来、父は同店に足しげく通っていました。その理由は、店員さんたちが父にとても親切に接してくれたからです。一度父に連れられて私も行ってみましたが、入店するや否や「いらっしゃいませ~、お元気でしたか!!」 「今日は息子さんとご一緒ですか~、良かったですね!!」 「この間一緒にいらしたお孫さん、すごい美人でしたね~、将来モデルさんになるんじゃないかってみんなで話していたんですよ!!」 等々、店員さんが次々と80歳を超えた老人である父に話しかけてくるのです!!

 母に先立たれて以来生きる目標を失っていた父が、元気なお兄さん、お姉さんに声を掛けてもらい嬉しくないはずがありません。ひょっとしたら同店はラーメン屋の仮面を被った老人介護施設なのかも知れません(笑)。似たような経営方針の外食チェーンで『坂東太郎』という和食の店がありますが、客単価が一桁落ちるラーメン屋でこれだけお客を大事にしてくれる店は見たことがありません。同店のスタッフには感謝の念しかありません。

 ここまで読んで、みなさん「この話はなんだか怪しいぞ」「ひょっとしたら宗教団体
が経営してるんじゃないか?」などと思っていませんか? 実は私も不思議に思っていました。前述の納骨式の帰りに妹と同店のカウンターに座り「お父さんは本当にこの店が好きだったねぇ」などと思い出話をしていた私の目に『ラーメン来来亭新聞』なるパンフレットが目に留まりました。早速一読すると、同店の経営方針が分かりました。そこで働くスタッフをとても大切にしていたのです。

 表面には、同チェーンで働くスタッフが写真入りで10名も紹介されています。全員、いい笑顔です。そしてその左側に「来来亭のステップアップ制度」が紹介されていました。それを読んで私は驚きました。以下、転記します。

①洗い場 (約28万円スタート)
②ホール・接客 (入社2週間後、約29万円にUP!!)
③仕込み (入社1ヵ月半~半年後、約30万円にUP!!)
④副店長・教育担当 (最速入社6ヵ月後、約32~35万円にUP!!)
⑤店長 (最速入社1年後、約50万円にUP!!)
⑥独立!! (最短店長経験2年後、約1,000万円 もっと上も目指せる!!)

 どうですか、みなさん。実に魅力的な昇進制度と思いませんか? 私がもう少し若ければ、同店の門を叩きたいくらいです。ここで同社の昇進制度のポイントを説明します。

 まず驚くのが、入店早々28万円の給与を支給する点です。現在労働市場では「20万円の壁」という問題が存在します。特にスキルがない労働者は、1ヵ月フルタイムで働いても手取りが20万円に満たない場合が多い、という問題です。会社を早期退職した後、労働条件が合わず2,3回転職した中高年労働者がたどり着く職場はだいたいこんなものです。

 単身者ならばいざ知らず、女房子供と住宅ローンを抱えた40~50代の男性にとって、「20万円の壁」は絶望的です。私自身、現在の仕事が軌道に乗るまでは「20万円の壁」のそびえ立つ某ブラック企業でこき使われていたので、来来亭さんの初任給のすごさには感嘆します。これにより同社は、労働市場から最良の人財を雇用することが出来ます(重要ポイント)。

 最良の人財を確保した後は、スキルとモチベーションの向上が大切になります。そこでモノを言うのが、上記②~⑥の「最短○ヵ月後」と「約○○万円にUP!!」です。スタッフのやる気を向上させる仕組みとして、実によく考えられています。単純明快で誰が見ても理解できる点もポイントです。

 最速入社1年後になれる店長は、月収約50万円です。これなら家も建てられます。その後独立開業の道もあり、月収100万円超も夢ではありません。実に夢のある職場です。

 一般に飲食業界の給与水準は低く、また昇進基準が明文化されていることが稀です(大手外食チェーンを除く)。したがってそこで働く人の離職率も高いのが現状です。従業員が流動的な業界(会社)は決して成長しません。教育(学習)効果が期待できないからです。

 現在同チェーンは全国35都道府県に240店舗ほど(業界9位)展開されている大チェーンですが、勘違いしてはいけません。大チェーンだからこの高待遇が実現できたのではなく、高待遇で優秀な人財を確保したからこそ、創業わずか20年間でここまで大きくなったのです!!

 『組織マネジメント』とは「人・物・金・情報」の4つの経営資源を最大限に活用することにより経営成果の最大化を図る管理技術ですが、来来亭さんを訪ねると『組織マネジメント』が非常にうまくいっていることが分かります。皆さんもぜひ一度同店を訪ねてみてください。見るポイントはそこで働くスタッフの表情と動き接客態度と会話の内容、そして店舗の5S状況です。

 来来亭さんを訪ねる前後に他のチェーン(ラーメン店)も訪ねてみると、より一層同店の特長が理解できるはずです。

あなたは組織マネジメント成功事例を見たことがありますか?

Sitemap

Contact us

お気軽にお問い合わせください。
PAGE TOP
PAGE TOP