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メルマガ第101号

あなたはアンケート調査を過小評価していませんか?

 私は上司 (総務部長兼課長) がリストラ対応による過重労働でメンタル不全に陥り休職して以来、担当者でありながら部長の仕事を半分任されました。その一つに「アンケート回答業務」があり、実に多くのアンケート依頼が会社に届くことに驚きました。部長業務が回ってきた段階で月の定時外労働時間が300~350時間に達していた私にとって、このあまり意味があると思えない業務は正直苦痛でした。

 最初は律儀に全部回答していたのですが、上司不在をいいことにだんだん適当になり、最後は労基署と親会社、帝国データバンク以外からの依頼は無視するようになりました。そんな中、とある大学の某研究室からの依頼に応じたことがありました。その理由はビール券4枚が同封されていたからです(笑)。

 この研究室の先生は、実によく人間の心情を分かっています。今回から電子回答方式となった国勢調査の回答率53.1%と低い (5年前の前回86.9%) ことからも分かる通り、人間は見返りのないことは極力やりたがらない傾向があるからです(英語のことわざにも 「Nothing comes for free」 というものがあります)。

 先日私宛に届いた「市政アンケート調査」の回答用紙(A4 1枚)には2つの質問① 石岡市について思うことがおありでしたらご意見をお聞かせください ②石岡市役所について~ (以下同文) および自由筆記回答欄がありました。また回答用紙の一番下には 「差し支えないようでしたら、ご住所・ご氏名をご記入ください」とありました。

 私はこのアンケート回答用紙を見て、心底がっかりしました。こんな仕事をする石岡市に住民税を払うのが嫌になったほどです。その理由は、私の目から見てこの用紙が「5点」の出来栄えだったからです (0点でない理由は、住所・氏名の記入が必須でない点を評価)。こんなアンケートで精度の高いデータなど採取不能ですし、そのデータを元に行われる政策が市民の意向に沿ったものでないことなど初めから明白です。

  このアンケートの真の目的おそらく 『エビデンス作り』なのでしょう。やること自体が目的化した、形骸化した仕事です。典型的な「お役所仕事」と言えます。おおかた有力議員の要請で実施したのでしょう。
「お~い、角川先生。今回もクソみそにけなしてるけど、あんた石岡市になにか恨みでもあんのかい?」
 (苦笑) おやおや、謎の読者様、お久しぶりの登場ですね。お元気でしたか?

「おう、コロナ禍とやらのせいで毎日定時帰宅、一日が長くてよ…。ところで、アンケートなんて大概そんなもんじゃね~の?」

  まあそう思われるのも無理はありません。それでは、なぜこのアンケートがダメなのか、ご説明いたしましょう。

【 よく見かけるアンケート用紙がダメな理由 】

①いきなり聞きたいことを聞いている (回答者に心の準備の時間を与えていない)。
②質問が大雑把すぎて、回答者が何を答えたらいいのかはっきりしない。
③自由筆記回答のみで文章を書かなければならず、回答者の負担が大きい。
④回答者の労力に対する見返りがない。
⑤記名式なので、回答内容によっては回答者への報復措置が懸念される。
⑥当事者への直接回答のため、回答者に本音で書くことをためらわせる。

  以上①~⑥をまとめると、回答者への配慮 (愛情?) が欠如している、ということです。どうです、ご理解いただけましたか? 謎の読者様。

「言われてみれば、確かにあんたの言う通りだな…。そんでよ先生、どうしたらまともなアンケートになるのかついでに教えてくれないか? いや、教えてください!!」

 (笑) それは簡単です。ダメな理由を全部解消すれば、よいアンケートになります。先日アンケートを実施した某巨大メーカーの設計部長Sさんの感想をお伝えして、今回はお別れしましょう。

 「思っていた以上に部員の本音が確認できたと感じています。部署の現状を部長~担当まで、共通認識できた点が良かったと思います。部員の大半が今の仕事のやり方を替える必要ある!と感じていることが分かり、大変頼もしく思いました」

 あなたはアンケート調査を過小評価していませんか?

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