⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第89号

あなたは『組織マネジメントの価値』を認識されていますか?

 インドにその起源を発する将棋は、6世紀に中国から日本に伝わったとされます。ヨーロッパのチェス、インドのチャトランガ、タイのマークルック、中国のシャンチーと異なり、日本将棋には一つ大きな特徴があります。取った相手の駒が再利用できる点です。チェスは取った駒が再利用できないため終盤が限定的となり、1997年にはコンピュータ(IBMのDEEP BLUE)が当時の世界チャンピオン(ガリル・カスパロフ)をついに凌駕してしまいました。

  その点将棋は終盤になればなるほど選択肢が増えるため、人間の優位は当分揺るがないと思われていましたが、コンピュータ自体の性能向上とソフト開発者の執念で、今日ではプロ棋士に勝ってもニュースにならなくなりました。30年ほど前からゲームセンターに設置されるようになった将棋ゲームは気の毒なくらい弱く、憂さ晴らしに全部の駒を取ったりしていたものですが、今では私(アマ4段)が慰み者にされる始末です(苦笑)。「そんな訳ね~だろぅ!!」という腕自慢の方、下記URLより挑戦してみてください。難易度10にすると鬼のように強いですよ。「まさか負けないだろう」と油断していたら、私も久々に飛車角落ちで負けてしまいました(苦笑)。
⇒ https://h5games.success-corp.co.jp/game/play/su-22-shogi

  盤駒さえあればどこでも遊べる将棋は、長らく日本の男の子の代表的なゲームでした。ゲームセンターが少なくファミコンもなかった頃に幼少期を過ごした男子なら、一度は遊んだことがあるはずです。阪田vs木村、木村vs升田、升田vs大山、中原vs米長、谷川vs55年組、羽生vs羽生世代、そして昨今の藤井聡太ブームと、10~15年間隔で世間に話題を提供し続けています。

  私は小学3年生の時に祖父から将棋を教わり、中学時代に熱中、高校入学後は将棋研究会で腕を磨き、大学でも将棋サークルに所属するほどでした。都合10年間将棋漬けでした。それから幾星霜、いつの間にやら組織マネジメントと人財育成を専門テーマとするコンサルタントとなった訳ですが、現在の視線から将棋を改めて見直すと、将棋とは組織マネジメントゲームであることに気付きました。以下、会社経営(組織マネジメント)と将棋を対比してお話しします。

  会社経営で一番大切なものは①経営ビジョン(目的)です。次に②経営戦略(目的達成手段)が来ます。そして手持ちの経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を効率的に活用し、最短の期間で経営戦略を達成する管理技術が③組織マネジメントです。将棋の場合①経営ビジョンは目の前の敵(対戦者)に勝つ、②はどの戦法を採用するか、③は実際にどのように指すか、ということになります。特に平手戦(軍勢が互角の戦い)の場合、お互い20枚ずつの駒で雌雄を決する訳ですから、戦法の選択さえ間違わなければ、後は指し方(組織マネジメント)で勝負がつきます

 将棋の格言も会社経営(組織マネジメント)に役立つものが多いです。「遊び駒(勝負に無関係な存在)を作るな」をビジネス格言に言い換えると「扶養家族(会社利益に直結しない社員)を作るな」となります。「歩のない将棋は負け将棋」は、駒台に歩(社内に余剰人員)がない会社はビジネスチャンスを掴んだり、不測の事態に対処できないということです。「敵の打ちたいところに打て」は、競合他社のやりそうなことを先にやってしまえ、「端に手あり」は業界常識の外にビジネスチャンスあり、「不利な時は戦線拡大」は、会社業績が芳しくない時は縮こまってないで、思い切ってOMS構築など色々なことにチャレンジしてみろ、といったところでしょうか?

 ところで先日YouTubeで大山十五世名人と羽生善治先生の最後の対局を視聴したのですが、中盤では羽生の楽勝と見えた局面がいつの間にやら大山優勢となり、47歳の年齢差をものともせず大山名人が勝ち切りました。全盛期に「大山名人の王将は磁石のようだ。終盤になるにつれ、離れていた金銀が王将にピッタリと寄り添ってくる」と他の棋士から言われた通りの見事な将棋で、後の永世七冠王羽生をして「よくある定跡形からこんな変化になるとは…。将棋の奥深さを改めて思い知らされた」と言わしめた一局でした。大山名人が羽生さんに、遺言として『組織マネジメントの価値』を教えた戦いに私には思えます。この対局の一年後、不世出の大名人は世を去りました(本局についてご興味のある方は、下記URLよりどうぞ)。

⇒ https://www.youtube.com/watch?v=VGKvAQxpO3s

  将棋では対局者が社長です。王将(会社)の存続を賭けて、競合他社と戦いを繰り広げます。金将(総務・経理部長)で王将の脇を固め、飛車・角行(事業部長)を軸に、銀将(課長)を現場指揮官として桂馬(係長)、香車(主任)、歩兵(担当者)それぞれの能力をフル活用して戦います。戦力(資本金・従業員数)が同規模の競合他社に勝つのは大変です。勝敗の行方はひとえに対局者の組織マネジメント技術にかかっています(管理職の方は管掌部署では組織のトップ、つまり「対局者」です)。

  担当者の方も久しぶりに将棋を指してみませんか? 今では自宅に居ながらにして、オンラインで対局が楽しめる時代です。会社では部下として上司に使われているあなたも、対局する時は一国一城の主です。あなたの大切な部下を上手にマネジメントし、活躍させてあげてください。将棋(=組織マネジメントゲーム)は管理職育成に最適なゲームですよ。なにやら協賛 (社)日本将棋連盟のようになってきましたので、今回はこの辺で終わりにしましょう(笑)。

あなたは『組織マネジメントの価値』を認識されていますか?

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