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メルマガ第62号

あなたは『画期的なアイデア』を思いつくために何をしていますか?(その⑤)

  まずは添付『①ビジネスジェット機』をご覧ください。ご存知かと思いますが、自動車メーカーであるホンダ技研工業(株)が作ったジェット旅客機です。皆さんはこの写真を初めて見た時、どのように思われましたか? 45年来の飛行機オタクである私は、強烈な違和感を感じたことを覚えています。ナチスドイツの開発した試作機かと思ったほどです。

 その理由は、主翼上部にエンジンが配置された構造にあります。通常このタイプの小型旅客機は、添付②ビジネスジェット機のように機体後部にエンジンを配置します。その理由は、主翼の下に付け主脚が長くなるデメリット(重量増)を回避するためです。しかしこの構造には下記のデメリットがあります。

  1. エンジン設置のため、機体後部の強度を高める必要がある(機体重量増加)。
  2. そのため機体後部にフレームが入り、客室として使えない(旅客数減少)。
  3. 機体に直結するため、エンジン音がうるさい(機内の静粛性低下)。

 これらすべての問題を解決したのが、主翼上にエンジンを配置する設計でした。そのおかげでホンダジェットは業界の巨人セスナ社を抑え、2017年納入機数トップに立ちました。素人の発想(業界の非常識)が、その道のプロ(業界の常識)を打ち負かしたわけです。そして開発・設計責任者は同社航空機部門の社長に就任しました。なんとも夢のある話ではありませんか!!

 さて、一体どうしたら我々にもホンダジェットのような斬新なアイデアが生まれるのでしょうか? そう感じた方に添付『改善のECRS』『改善の12定石』を進呈します。これらを印刷しラミネート加工して、必要なときいつでも引っ張り出せるようにしてください。そしてアイデアが出ず困ったときに、上から一つずつ検討してみてください(ホワイトボードマーカーでチェックしながらやる方法がお勧めです)。

 ホンダジェットの事例で私が感じるのは、このデザインが実現できたのは同社が最後発だったからだろうなぁ、ということです。先行他社と同じものを作っても意味がないため、この思い切ったデザインを採用するしかなかったのでしょう。改革はよほど追い詰められないと断行できない、という私の経験則とも合致します。またこう考えれば、セスナ社がこのデザインを採用しなかった理由にも納得がいくはずです。

 それより私が気になるのは、最近の日本製品が面白くなくなった(リスクを取らなくなった)点です。家電を例にとると、ダイソンやルンバのような画期的な製品が日本メーカーから生まれなくなりました。私が問題視しているのは、技術的に「作れなかった」のではなく「作らなかった」点です。日本メーカーにもダイソンやルンバのような製品を思いついた設計者はいるはずです。そのアイデアがなぜ実現しなかったのか、我々は真剣に考えなければならないのでないでしょうか?

 この一文を読まれた方が「ホンダにできて我が社にできないはずがない!! よ~し、見ていろよ!!」と奮起されることを願っております。

 あなたは『画期的なアイデア』を思いつくために何をしていますか?

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