⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第87号

あなたは「見える化」の価値をお分かりですか?

 私はセミナーやコンサルティングで出張するとき以外は基本的に在宅勤務なので、当然運動不足になります。それだけならまだしも、ある程度運動しないと新鮮な血液が脳に回らず、斬新なアイデアが出てきません。これは私の職業では致命的なので運動するよう努めていますが、生来怠け者の上、根っからの運動嫌いと来ています。そんな私が唯一継続できた運動が『深夜ウォーキング』です(詳しくは添付メルマガ31、32号をお読みください)。

 趣味と実益を兼ねた『深夜ウォーキング』は、とかく世相に疎くなりがちな在宅勤務者の私にとって絶好の社会勉強の機会でもあります。茨城県内の各都市に現在13のウォーキングコースがあり、その日の気分や体調、天候等によって選んでいます。先日3つのコースがある茨城県土浦市の神立コースを歩いてきました。

  神立(かんだつ)は茨城県第3の都市土浦市の北側にあり、1964年の東京オリンピック開催前後の工場郊外移転の流れで出来た大規模工業団地によって発展した街です。日立製作所、日立建機、日本コカコーラ等の大工場が軒を連ねる茨城県屈指の工業団地です。

  自宅から車で神立に行き、駅近くの24時間営業のスーパーの駐車場の片隅に駐車して1~1.5時間歩くのですが、最近駐車場の車の台数が激減していることに気付きました。同店で買物はするのですが厳密には不法駐車なので、気になっていたこの現象の理由が先日ついに判明しました。

 神立の工業団地で働く人は1万人を超えるので、当然いろいろな商業施設や娯楽施設があります。スーパー、ファミレスは言うまでもなく、カラオケボックス、ゲームセンター、バッティングセンターもあります。そして日頃労働で疲れた心を癒す慰安施設、スナックの類も駅前だけで20数軒あります。その内の一軒に友人と行った時のことです。

  スナック密集地帯の横にあった空地がアスファルト舗装され、70台が停められる大駐車場となっていました。それぞれの駐車区画には『スター』『ゆり』『ひまわり』『つばさ』『YOU』等、スナックの店名の書かれた立札が立てられています。12月の第3週と言うこともあり、平日にもかかわらず20時の段階でほぼ満車状態でした。そこになんとか自分の車を停めて初めて気づきました。前述の24時間営業のスーパーの駐車場に停めてあった車の大半が、スナックのお客さんの不法駐車だったのです!!

 このスーパーの店内には深夜の時間帯いつも数人しかお客さんがいないのに、駐車場には40台くらい車が停まっているで私もうすうす気づいてはおりました。しかし同店にとっては相当腹立たしい事態であったに違いありません。ある時同店の責任者が前述のスナック経営者に対し、強硬な申し入れを行ったのだと推測します。スナック側からしても駐車場は経営に必要不可欠です。このご時世、少しでも飲み代を安く上げるために行きは自分の車、帰りは運転代行サービスを利用するお客さんが大多数のため、無料駐車場のあるなしは死活問題だからです。そこで普段は競合しているスナックが大同団結し、お金を出し合って件の大駐車場建設に乗り出したのでしょう。

 つまり件の大駐車場はスーパーにとって、「不法駐車の「見える化」ツール」だったわけです!! 今回スナック側に自前の駐車場を作らせたことにより、同店が被っていた被害が定量的に明らかになりました

 スナックなんかに関心のないストイックな皆さんならびに女性の皆さん、ここまで当メルマガに辛抱強くお付き合いいただきありがとうございました。 ここからようやくビジネスメルマガらしくなりますので、ご安心ください(笑)。

 今日では当たり前のように存在している駅の自動改札ですが、私が神立駅から水戸駅まで電車通学していた39年前は、駅員さんが一枚一枚切符(硬券)を乗客から受け取り、ハサミを入れていました。改札口に立ち、乗客と乗客の間で「パチパチパチパチ」とハサミでリズムを刻むその職人芸(駅員芸?)に感心したものです。そんな田舎の学生の感心をよそに、鉄道各社はある問題に長年悩まされていました。『キセル乗車』です。

 若い読者のために説明すると、喫煙方法は喫煙具を使用する『刻みタバコ』と、そのまま喫える『紙巻きタバコ』に大別されます。日本では古来より『煙管(キセル)』が使用されていました。煙管はタバコを詰めて火を着ける火皿(雁首)と吸口が金属、両者を繋ぐ羅宇(らう)が笹竹です。『キセル乗車』とは乗車駅と次の駅間、降車駅と手前の駅間の2枚の定期券を購入し、その間は無賃乗車する不正乗車のことです。金を払うのが経路の両端だけであることから、この名がつきました (なかなか粋なネーミングですね)。

 当時『キセル乗車』を摘発するには、車掌による車内検札しか手段がなく、その実態は正しく闇の中でした。しかしそんな牧歌的な時代もついに終わりを迎える日がやってきました。それが自動改札機の導入です。日本で最初に本格導入されたのは、1967年の京阪神急行電鉄北千里駅でした。首都圏では、1971年に東京急行電鉄(東急)に設置されたのが最初です。その後は当初1台1,000万円を超える価格がネックとなりなかなか普及しませんでしたが、1980年代になり急速に普及します。

 その理由は新宿と八王子方面を結ぶ大手私鉄の京王電鉄が自動改札機を導入したところ、何年かかるかまったく予想がつかなかった莫大な初期投資をわずか1.5ヵ月で回収できたという驚愕のエピソードが鉄道各社に知れ渡ったためです。それほどまでに『キセル乗車』による損害は莫大な金額だったのです。この事例で『自動改札機』の果たした役割は次の2つです。

  1. 『キセル乗車』による損金の「見える化」ツール
  2. 『キセル乗車』を不可能にする防犯ツール

 鉄道オタク以外の皆様、ここまで当メルマガにお付き合いいただきありがとうございました。実は鉄道会社ではない御社にも『キセル乗車』の被害は存在しています間接員の労働時間内の非労働時間です。『椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!』という衝撃的なタイトルの本で、キヤノン電子㈱社長の酒巻さんが実施した事例が紹介されています。全間接員のパソコンにこっそりソフトをインストールした結果、同社の間接員の実労働時間はたった6割で、労働時間のなんと4割はネットサーフィン等で「遊んでいる」ことが判明したそうです。これでは確かに会社は伸びませんよね。

 そんな牧歌的な会社も『組織マネジメントシステム(OMS)』の自社構築で終わりを迎えます。OMSが果たす役割は次の2つです。

  1. 間接員の実労働時間の「見える化」
  2. 低生産性業務の「見える化」

 上記の2つの「見える化」を実施した後で以下の3つに取り組めば、間接業務の生産性は300%向上します

  1. 「あるべき姿」との対照による真のムダ取り
  2. 業務改善および業務改革
  3. 業務推進方法の高位標準化

 上記の『間接業務の生産性300%向上ストーリー』の第1章は、『現状の「見える化」』です。

 あなたは「見える化」の価値をお分かりですか?

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