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メルマガ第144号

あなたは「御社の伸びしろ」にお気づきですか?

 今年読んだ1冊目の本は、『日本の伸びしろ 悲観を成長に変える思考力』(出口治明 著、文春新書 )でした。30年におよぶ景気低迷に加え、コロナ禍、ウクライナ戦争に起因する物価高騰等、八方ふさがりの様相を呈する日本経済に対し、同書の帯広告にはこのように書かれています。

 「3つの突破口で企業も社会も元気になる!」 「一番深刻なのは、人口問題でも、デフレでもない。「何をやってもよくならない」という悲観です」

 どうです?読んでみたくなりませんか?表紙をめくると最初のページには「山積する課題の中に伸びしろがある」と書かれています。「事務所埋蔵金の中に管理利益がある、ということだな」と解釈し、同書を読み進めました(下記URLから同書の目次が見られます )。

 
 著者の出口治明さんは、日本生命で部長を務めた後退社、ライフネット生命を創業し社長・会長を歴任、2018年より立命館アジア太平洋大学の学長をされている異色の経歴の持ち主です。経営者でありながら数々の歴史書を世に送り出し、TVの討論番組にも出演する等、論客としても有名です。書店の店先にご著書が平積みになっているのを見かけた方も多いことでしょう。

 出口さんがこの本で一番訴えたかったこと「ピンチこそチャンスである」の一言に尽きます。同書のサブタイトル「悲観を成長に変える思考力」とは、「ネガティブ思考をポジティブ思考に変換する方法」に他なりません。

 バブル崩壊後の「失われた30年」で、日本人はすっかり自信を失くしてしまいました。大志を抱く若者はいなくなり、気の利いた者(会社)は日本社会に見切りをつけ海外に流失、社会に閉塞感および「負け犬感」が漂うこの国を復活させることなど本当に出来るのでしょうか?その問いかけに、出口さんは「出来る!!」と断言します。

 帯広告の「一番深刻なのは、人口問題でも、デフレでもない。「何をやってもよくならない」という悲観です」とありますが、日本復活へのファーストステップは、その悲観(ネガティブ感情)をポジティブ感情にマインドリセットする」ことです。

 例えば、今このメルマガをお読みの皆さんのお財布に千円しか入っておらず、クレジットカードも家に置いてきてしまったという事態を想定してください。幸い定期券(車)はあるので帰宅はできますが、社会人でありながら所持金千円というのは結構やばい事態ですよね?ひょっとしたら瞬間風速的に、ホームレスより貧乏かもしれません(笑)。

 このピンチをどう考えるかであなたの人生が大きく変わります。「あ~よかった、まだ千円持ってて」 「千円しかないなんて死んだも同然じゃん…」 さて、あなたは前者ですか?それとも後者ですか?

 前者がポジティブ思考、後者がネガティブ思考です。洋の東西を問わず、不思議なことに人間はネガティブ思考が好きです。勝ちに行こうとすれば様々なリスクに直面しますが、最初から勝つことを諦め「負け犬」の地位に甘んじてしてしまえば、それはそれで楽だからでしょう。

 ここで話は変わりますが、マクロ経済学者の野口悠紀雄先生は、その最新刊『日本が先進国から脱落する日 ~ 円安という麻薬が日本を貧しくした!!~』 (プレジデント社)でこう断言されています。「先進国中、日本のみが30年間経済成長できず、先進国の地位から転落しかけている最大の原因は、財務官僚が円安を是とする誤った政策をとり続けているからだ

 役所の人事評価システムでは、新しいことにチャレンジし失敗すると、出世競争から脱落してしまいます。官僚が「前例主義( 前例のない仕事は自主的に取り組まない )」に陥る最大の理由はここにあります。「役所の中の役所」との異名をとる財務省(旧大蔵省)の官僚たちが円安という安易な政策に走る理由も、前例主義によるものです。

 ちなみにバブル期の日本円の強さはすさまじく、当時海外旅行された方は「強い円」の恩恵を存分に堪能されたことでしょう( 現地の富裕層から「enjoy the Economicalgap!!(経済格差を楽しめよ!!)」と皮肉を言われた記憶が私にもあります)。

 それから30年、日本はすっかり「安い国」となり果てました。現在海外からの旅行者が激増している一番の理由は「コスパがいいから」です。海外の投資ファンドが日本企業を買収するのも「費用対効果に優れるから」です。

 私の前職の親会社だった日立電線は業績不振が続き、2012年に日立金属に吸収合併されました。その日立金属は、日立製作所が実施した「事業の選択と集中」から外れ、昨年投資ファンドに売却されました。

 ここで皆さんに質問です。なぜ海外の投資ファンドは日本メーカーを好んで買収するのでしょうか?それは「その価値に対して株価が安い」ことの他にもう一つ理由があります。
間接業務の生産性さえ向上させれば業績が復活し、高値で転売できるからです!!

 投資ファンドは、いわば「会社のリサイクルショップ」です。安値で入手した商品を補修・クリーニングし高値で転売することにより利益を上げています。そのリサイクルショップの目から見て、自分たちの価値に気付いておらず、間接業務の低生産を野放しにしている日本企業はまさしく「宝の山」です。

 ここまでこのメルマガをお読みいただいたあなたには、通貨の安い国の国民が幸せになれないのと同様に、株価が安い会社の社員も決して幸せになれないことをご理解いただけたことでしょう。そして株価が安い理由は、間接業務の生産性が異常に低いからです。以上をまとめると、御社が今後も存続するには①投資ファンド会社に買収される(他力) ②間接業務の生産性向上にチャレンジする(自力)の2つしかありません。

 出口さんは前述のご著書のP4でこう述べています。「(バブル崩壊後、)30年以上も問題・課題を溜め込んできた日本は、改善の余地が山ほどあります」 「改善点とはすなわち「伸びしろ」です」 「現在の日本がどん底の状態であるなら、裏返せば、大きく飛躍するチャンスです」 「日本の伸びしろは大きい」 「プラス思考で捉えたら、日本の将来に絶望するのが間違いであることに多くの方が気づくでしょう」

 あなたは『自社の伸びしろ』にお気づきですか?

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