⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第105号

あなたは「冬の時代」をどう過ごすおつもりですか?

 子供のころの私の夢は大工さんになることでした。父が工具を自由に使わせてくれたので、日々もの作りに明け暮れていました。学校からの帰路、途中にあった工具店でノミ・カンナ・ノコギリをながめ、材木店では無垢の角材にほおをすり寄せ、木の香りを堪能していました (笑)。今思えば、随分と渋い子供でした。

 病高じて製材所を訪ねた際、木には「年輪」というものがあることを知りました。常夏の熱帯原産の木 (バルサ、黒檀等) を除き、樹木を横に切ると年輪があり、それを数えると樹齢 (人間の年齢に相当) が分かる、とおじさんから教わりました。

 年輪ができるには「冬」が必要となります。日照時間が長く気温も高い春・夏・秋は樹木の成長スピードが早く、白っぽくなります。それに対し冬は樹木にとって厳しい季節なので成長スピードは遅くなり、焦げ茶色 (年輪) になります。そして年輪の間隔が密なほど、樹木は硬く丈夫になります。

 「坊やもこの木のように丈夫な人間に育つんだぞ!!」との製材所のおじさんの激励が天に届いたのか、15歳の時交通事故で40日入院し成績が急降下、エリートコースから転落し40年間「冬の時代」が続いたおかげで、今日私はちょっとやそっとではビクともしない「鋼のメンタル」の持ち主となってしまいました(苦笑)。

 さて現在「100年に一度の経済危機」と言われていますが、気候に置き換えると「100年に一度の厳寒期」ということになります。そしてこの「厳寒期」をいかに過ごすかによって、「春」が来た時の成長スピードに大きな差が発生します

 スポーツに例を取ると、マラソンは秋がシーズンですが、梅雨から夏にかけていかに走り込むかによって、秋の成績に大きな差がつくそうです。

 また将棋の世界では、「勝って自信がつき、負けて強くなる」と言われています。前半の説明は不要でしょうから、後半を解説します。将棋に負けると謙虚になり、自己反省します。そして自身の至らぬ点を認識し、そこを補うべく勉強します。その結果、棋力が向上するというわけです。

 ただし、一点注意が必要です。負ければ誰でも強くなるわけではありません。勝って当たり前の相手に負けたり、必勝の将棋をミスにより逆転負けしたりすると反省する気になどなれず、自信を喪失し落ち込んだり、やけくそになったり、酒やギャンブルに逃避したりする方が普通ではないでしょうか?

 つまり強くなる人は「心がけ」が違う、ということです。勝っても負けても強くなってしまうんですから、対戦相手はたまったものではありませんね(笑)。かつての羽生さん、現在の藤井さんがまさしく該当します。かつて『羽生さんだけどうしてそんなに強いのですか?』という本が出版されました。羽生世代は永世名人を3人
も輩出した強豪ぞろいの世代なのですが、それらの強豪を敵に回して永世七冠を達成した羽生さんは、明らかに別格の存在です。いったい羽生さんと他の棋士はどこが違うのでしょう?

 私の見るところ、羽生さんは将棋界で一番将棋を楽しんでいると思います。義務感や使命感では一流止まりですが、楽しんでいる人は超一流に達します。絶体絶命のピンチで他の棋士が苦渋している局面でも、羽生さんは「この局面を打開出来たら、相手はさぞショックを受けるだろうな。棋力と評価が上がり、将棋ファンにも喜んでもらえるぞ。俺は本当にツイているなぁ」と心中ほくそ笑んでいるに違いありません。

 かつて「巨人」と称された大山康晴15世名人も、誰が見ても必敗の局面で平然と受けまくり、相手が攻め疲れしたところで一気に攻勢に出て逆転勝利を得ることがしばしばありました。当時のプロ棋士は「大山名人の将棋には終盤が二度ある」と恐れたものです。そんな大山名人が晩年色紙に揮毫を頼まれると、好んで書いていた言葉が「助からないと思っても 助かっている」でした。

 「将棋界のレジェンドと比較されてもなぁ…」と、諦めないでください。前述の大山・羽生・藤井先生と他のプロ棋士の違いは、極論すれば心がけ一つなのです。心がけ一つでかたや勝っても負けても強くなり、かたや負けると心が折れてしまうのです。長年負け続けている私が言うんですから間違いありません(苦笑)。

 しかし、そんな私にも最近ようやく日の光が差してきました。長年主張し続けてきた「間接業務の生産性向上こそ日本企業復活の決め手」に世間がようやく耳を傾けてくれるようになったのです。半年前2ヶ月無収入だったことがウソのように、このところオファーが続いております。

 これは私のステイタスが向上したからではなく、「100年に一度の経済危機」に際しこれといった処方箋を示せない他のコンサル先生と比較し、とにもかくにも対策を提示している私のプレゼンス(存在)が相対的に浮上したのでしょう。長く続いた「冬の時代」に勝負(人生)を諦めなくて本当に良かったと思います。

 以上の経験からも「絶体絶命のピンチ」は①心が折れない ②冷静になってものの見方・考え方を変えてみる、の2点を満たせば、「千載一遇のチャンス」に転化することが可能です。さあ、今度はあなたの番です!!

 あなたは「冬の時代」をどう過ごすおつもりですか?

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