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メルマガ第133号

あなたは「プレゼンを通すコツ」をご存じですか?

 私は前職在籍時に「プレゼンを通すコツ」に気づきました。それ以降、私のプレゼンは100%通るようになりました。私のプレゼン必勝法とは、「①やらないとこれだけ損する ②やったらこれだけ儲かる ③実施に必要な費用はこれだけである」の3点を金額表示した『費用対効果の対照表』を作成することです。

ある時、稟議書を持参した私に経理部長がこう言いました。「お前の稟議書は、審査者の知性を試すような書き方だな」 「お前にバカと思われたくないから、こっちはハンコを押すしか選択肢がないんだ」 「俺はまだ幻聴が聞こえる歳ではないと思うが、「部長、この費用でこんなに効果があるこの提案を、まさか却下したりしませんよね?」というお前の声が、この稟議書の行間から聞こえてくるぞ」 「これは稟議書じゃない。はっきり言って脅迫状だ!!」

 この脅迫状作成スキル(?)は、ろくな予算を持たない私が「このアイデアをどうしても実現したい!!」 「この業務改革を実現しないとこの会社は持たない!!」という強い思いや危機感からひねり出したものです。参考までに、このスキルによって実現した事例をいくつかご紹介します。

総務部(6年間在籍)で実施したもの

(1)ドラムプランター

 ①分別投棄のために手間暇かけて解体し、なおかつ産業廃棄物としてお金をかけて処分していた廃用の木製ドラムを、②真っ二つにして脚を付けペンキ塗装することにより『ドラムプランター』として商品化する対照表を作成。
 即認可され、社内販売した結果、100万円を超える利益を会社にもたらした。「金を使ってばかりの総務部が、創業以来初めて金を稼いだ!!」と経理課長にほめられる。

(2) 独身寮の空調機交換

 バブル期に建てられた独身寮(三階建て・36室)の各室(六畳間)には、なぜかしら天井埋め込み型のパッケージエアコン(業務用)が設置されていた。築20年を過ぎ空調機も寿命を迎え、故障が頻発していたため、①パッケージエアコン(1台30万円・寿命20年)の交換 ②家庭用エアコン(1台3万円・寿命10年)に変更の両案の対照表を作成し、②で実施された。入居者に喜ばれた他、経理部長および設備課長(電気屋)にほめられる。

(3) 構内路面補修計画

 フォークリフトによる物損事故が年間6件発生したことを受け、フォークリフト安全対策委員会を発足させた。物流委託会社のリフトマン5名を招集しその本音を聞いたところ、創業以来40年間メンテナンスを怠っていた路面の状況が劣悪であることが判明。
 ①今回補修工事を見送った場合( のろのろ運転による納期遅延、製品落下、物損事故、人身事故発生 ) ②補修工事を実施した場合の費用対効果対照表を作成、2,000万円/年の予算を勝ち取る。
 その後3年間で構内の路面は刷新され、リフトによる事故はピタリと止まる。また、長年言いたいことも言えなかった物流委託会社の皆さんに大変喜んでもらえ、信頼関係が構築できた。

(4) 緑地駐車場

 500台収容の従業員用駐車場に工場新設が決まり、駐車所の新設が必要となった。敷地拡張の余地はなく、緑地率(工場立地法)はギリギリだったため、緑地をつぶしての駐車場新設は法令違反となる状況だった。
 そこで①駐車場の高層化( 3階建て立体駐車場新設 ) ②緑地駐車場の新設( 重複緑地として認可される )の対照表を作成、②で実施された。

品質管理グループ(5年間在籍)で実施したもの

(5) 書画カメラ付きプロジェクター導入

 品管G(品質保証部)で管理していたOHPは、ここぞというときによく球切れを起こした。そのため予備機と電球を持っていたが、予備機は照度不足、電球は交換に時間がかかるうえ高価だった。
 そこで①球切れの心配がない書画カメラ付きプロジェクター(60万円)に交換する ②このままOHPを使い続ける( OHP映写時に資料をプラスチックフィルムにコピーする手間と費用も計上 )の2案の対照表を作成した。
 経理部長に一度却下されるも、メーカーによるデモを行い、事前に品証・製造・設計各部長を味方につけておいたことが功を奏し、3部長が強硬に抗議してくれ認可を勝ち取る。
 後日、親会社から赴任した新工場長が同機の使い勝手の良さに驚き、「お前たち、いつまでOHPなんか使っているんだ!! 子会社の方がはるかに進んでるぞ!! 恥ずかしくないのか!!」と親会社に報告した結果、同社(単体で6,000人)の全OHPが同機に置き換えられる。

(6) 製品含有化学物質調査回答業務の改革

 本来設計部の担当であるはずの当業務を、製品知識のない品質管理Gの事務員が行っていた。そのため①回答書作成に時間がかかる ②顧客提出前に設計部に回覧・承認が必要で回答納期の大幅な遅延を招き、営業・設計・品証・顧客を巻き込んだ大問題となり、親会社からも改善を強く要請されていた。
 そのため、設計部が予め整備したデータを品管Gで回答書に転記する業務改革案を立案し、①現状:4人で標準回答納期2~3週間かかっている  ②改革案:1.5人で即日~1週間で回答、の対照表を作成した。現状と改革案の双方を所要時間および金額で表記した対照表は関係者全員(50名)の心を動かし、満場一致で採択された。
  半年後には1名で業務がつつがなく遂行できるまでになり、品質管理Gが本来業務に充分時間を割けるようになった他、営業・設計・品証各部の業務負荷軽減および顧客満足度向上に大きく貢献する。

 以上6つの事例をご紹介しましたが、御社の問題解決のヒントになれば幸いです。

 さて、私の『プレゼン必勝法』には実はもうひとつ『裏マニュアル』が存在します。それは「稟議書を書いてみて、圧倒的な費用対効果が実金額で示せるものしか申請しない」です。脅迫状レベルに達していないものを提出すると私自身の評価が下がるので、自らボツにしていました。

 あなたは「プレゼンを通すコツ」をご存じですか?

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