⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第103号

あなたの頭は「アフターコロナ仕様」に更新済みですか?

 10/30(金)に私の地元茨城県で開催された『臨戦態勢構築セミナー』は『コロナ対策緊急セミナー』として新たに企画した2本の内の1つです。企画・立案・テキスト作成に3ヶ月を費やした自信作で、講義の練習も4回行いました。

 今までのセミナーは東京・名古屋・大阪・福岡等の大都市での開催で、通常5万円前後の受講料です。それが①地元開催 ②格安な受講料(5,000円(非会員12,000円)) ③会社の業種・業態・規模を問わない普遍的な内容 ④「100年に一度の経済危機」に直面しているマーケットのニーズを捉えている (と私は考えました)とあれば、「これは今までの最高記録43名を超えるのでは…」と密かに思っていました。しかし現実は厳しく、当日会場にお越しいただけたのは11名 ( 社長4名、総務部長3名、総務課長1名、総務部員2名、コンサルタント1名)の皆様でした。

 どのようなニーズをお持ちの方がお見えになるか興味津々でしたが、受講者アンケートを見ると「従業員アンケートを実施したかった」 「以前アンケートを実施したが、従業員の本音が聞けなかった」 という方が大半で、マーケットにはかなりニッチなセミナーと認識されたようです。それだけに受講者のニーズとレベルは高く、いつにもまして鋭い質問を多数受けました。セミナー講師冥利に尽きます。

 さて、同セミナーは下記の説明から始まります。

第1章 これから我々を待ち受ける社会
(1)『アフターコロナ』とはどんな時代なのか?
(2)今後会社はどのように変わっていくのか?
(3)会社存続のために今すべきこと
(4)ピンチをチャンスに変える方法

 第1章の目的は受講者のマインドリセットです。どんなに懐かしがっても、もはや『ビフォーコロナ』時代には戻れないことを認識してもらうために、ユカタン半島(メキシコ)に落ちた、たった一つの巨大隕石により滅亡した恐竜の事例を紹介しました。

 第2章では、全社一丸となる臨戦態勢を築く必要性についてお話ししました。臨戦態勢でなかったばかりに、奇襲攻撃により大軍が無様に敗北した事例 (ドイツ軍によるフランス侵攻作戦 (1940年) 他2事例) を紹介しました。また、戦いに勝つには兵隊の人数・兵器の性能より、兵隊の「士気 (戦意)」が最重要であることを、日本海海戦(1905年)他1事例で説明しました。私は前世、防衛大学戦史研究室の先生だったに違いありません(笑)。

 久しぶりの会場セミナーでしたが、入念な準備で臨んだため講義自体は上手くいきました。しかし以下の2点が『ビフォーコロナ』とは状況が異なっており、セミナー進行の障害となりました。会場であるホテル側がコロナウィルス感染対策として「三密防止策」をとっていたことがその原因です。

 1つは、受講者間の距離が従来に比べかなり離れていたことです。机は1人掛け、しかも机と机の距離は離れています。これによって従来、受講者による手渡し方式で配布していた資料を、講師と事務局で会場を回り配布するしかありませんでした。都合14回も配布したので、結構な手間と時間を食いました。

 私のセミナーは受講者の「ワクワク感」を大事にしているため、他の先生のように資料を最初から机に置いておきません。先に配布すると、講義を聞かないで資料を読まれたり、先読みにより「ワクワク感」が損なわれるからです。しかし、このやり方ももはや限界のようです。

 2つ目の問題は、人数に対し会場が広くなったことです。これによりスクリーンが相対的に小さくなり、映写する資料が見えづらくなりました。セミナーでは、世間でよく目にするダメアンケートを3例紹介しました。現物をPDFファイル化し、スクリーンに映写したのですが、3列目より後列にお座りの受講者からは「よく見えなかった」とのお叱りを受講者アンケートで頂戴しました。

講義中、資料配布に手間と時間を要する(事前配布するとセミナーの品質が劣化)。
会場が広く (スクリーンが小さく)、受講者にPDFファイルの資料が見えない

 以上2点の問題点を、皆さんならどのように解決しますか? セミナー講師になった気持ちで考えてみてください (私のとった対策は文末の(追伸.4)をご覧ください)。

 さて私がセミナー冒頭で恐竜絶滅の事例を紹介した理由は、次のことを受講者に深く認識してもらうためでした。

 ジュラ紀における地球の支配者であった恐竜 (爬虫類・変温動物)ですら、環境の変化 (巨大隕石落下に起因する急激な気温の低下) に対応できなかったばかりに絶滅した。コロナ禍に対応が遅れると、会社の業種・業態・規模は一切不問で、市場から撤退・消滅を余儀なくされるだろう。

 セミナーが終わり、a.受講者アンケート集計結果 b.正木先生(後述)のコメント c.角川自身の気付き事項 を一覧表にまとめて眺めているうちにふと次の想いが脳裏をよぎり、思わず背筋がゾッとしました。

 セミナーでは「経営環境の変化に対応しないと、御社は大変なことになります」と受講者をさんざん脅していた講師である私自身が、ビフォーコロナ時代のやり方を捨てきれず、セミナー環境の変化に全然対応できていないではないか? 真っ先にセミナー業界から淘汰されるのは、ひょっとして私自身なのでは?

 『臨戦態勢構築セミナー』が一番役に立ったのは、他でもない講師の私だったのかもしれません (「教えることは学ぶこと」とはよく言ったものです)。

 今回私の至らぬ点をご指摘いただいたのは、11名のセミナー受講者の皆さんでした。70回以上セミナー講師を経験している私でも、受講者側の立場になって考えることの難しさを今回再認識しました。これを皆さんのお勤めの会社に置き換えると、人を使う側 (経営者・総務 (人事・管理) 部員) が、使われる側 (従業員) の気持ち (本音) を正しく把握することがいかに困難であるか、ということです。

 私は数ある転職歴の中に工場の現場作業者経験が複数あったため、彼らの気持ちが身体で理解でき、「現場をコントロールできる稀有な総務部員」として前職 (製造業)の歴代の役員から重宝されてきました。しかし、そんな人は滅多にいません。

 でも諦めることはありません。御社でも第三者機関による、無記名式従業員アンケートを実施すれば、従業員の本音は手に取るように分かります。①ついつい本音を書いてしまうアンケート書式 ②従業員に不信感を抱かせない実施方法、の2つのノウハウさえあれば、私のような特殊人財(?)を探してくる必要はありません(笑)。

 従業員アンケートの集計結果を見たあなたは、その赤裸々な内容にきっと手が震えることでしょう。そして「ビフォーコロナ時代」のやり方と決別しなければ「アフターコロナ時代」に会社が存続できないことを痛感するはずです。その時です、あなたが本気で新しい経営環境に対応すべく、行動を起こす気持ちになるのは。

 あなたの頭は「アフターコロナ仕様」に更新済みですか?

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