⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第11号

御社は事務所(間接)業務の「トヨタ生産方式」をご存知ですか?

 皆さん『トヨタ生産方式(TPS、別名JIT生産方式)』はご存じだと思います。これはトヨタ自動車の大野耐一氏や鈴村喜久雄氏が心血を注いで体系化した、世界に誇る生産方式です。しかし「トヨタ生産方式」に間接部門向けのもの(トヨタ流マネジメント)があることは、ほとんど知られていないようです。

 大規模書店の「トヨタ本」のコーナーへ行ってみても、そこにあるのは「7つのムダ」「かんばん方式」「ジャストインタイム」「改善」「自働化」等の製造現場や資材調達部門に関する本ばかりで、「トヨタ流マネジメント」の本などまず目にすることはありません。では、なぜ私は間接部門版TPS(別名『事務管理システム』)の存在を知ることができたのでしょうか?

 私の「『事務所埋蔵金』発見(「間接部門のまるごと見える化」)セミナーを受講された方は覚えていらっしゃると思いますが、冒頭に『こんなことでお困りではないですか?(全4編)』を配布して、該当する箇所に印をつけてもらい、挙手でいくつ該当したか答えていただいています。大概の方は6つ以上該当し恥ずかしそうにされているのですが、今まで4つしか該当されなかった方が4名(国内:2名、外資:2名)おります。その内の1名が某自動車メーカーの部長さんでした。

 私も長年の研究の中で薄々気づいてはいたのですが、「御社では事務管理システムが導入されているのですね」との私の問いかけに、その部長さんは無言でうなずいてくれました。ちなみにその回の受講者アンケート(添付資料をご覧ください)に「講義内容に不満」というのが1枚ありましたが、おそらくその方でしょう。無理もありませんね、自社に導入済のシステムの話を一日聞かされるんですから(苦笑)。

 (注)ここまでお読みになって、『こんなことでお困りではないですか?』に興味を持たれた方は、下記URLからどうぞ。経営者編・管理職編・人材育成編・ISO9001編と『事務管理システムの機能状況の判定基準』があり、ページ下部には、それぞれ『問題の発生原因とその対処方法』まであります。私のHPで一番役に立つページです。ぜひご覧ください。

   http://www.tmsri.com/cases.html

 

 前述の通り、本も出版されておらず知る人ぞ知る間接部門版TPS(事務管理システム)ですが、製品化して販売している会社は私の知るところ国内で3社あります。大手電機会社2社と、独立系ソフト会社1社です。退職後、独立開業の準備をしている間にネットで某独立系ソフト会社の存在を知り、同社主催のセミナーを受講したところ、私が開発したものとコンセプトが同じでした。気を取り直して第1回「事務所のまるごと「見える化」」セミナーを開講したところ、受講された大手電機会社2社の方から「うちでもやっています」と言われ、思わず気が遠くなりました。

 並みの神経の持ち主でしたらこの時点で開業を諦めるところですが、そこが私の図太い(無神経?)ところです。アリがゾウに勝つ方法はないか、一月ほど文字通り必死に考えました。そしたらありました、その方法が。

 私見では前述の3社に共通するウィークポイントが3点あります。1つはパッケージソフトの導入になるため、購入費用・従業員教育費用等のイニシャルコストが高い。2つ目は、保守・メンテナンス等のランニングコストもかかる。3つ目が大企業でも導入できるよう設計されているため中小企業向けではない(不要な機能が多い)、です。

 その他に私の体験(親会社開発のソフトを導入する業務を担当)からもう1点追加すると、既存のパッケージソフトは意外に導入失敗事例がある、ということが上げられます。その理由は、①カスタマイズに膨大な工数を要す②使い方を習得するのが大変③費やしたお金と工数の割には使えないことが多い、等です。導入時の苦労がすごいため、マンパワーの乏しい中小企業の場合ややもすると導入だけで全精力を使い果たしてしまい、肝心のシステム運用は「誰がやるの?」状態に陥りがちです。当たり前ですが、システムは運用しない限り利益を生むことはありません。

 年末年始休暇中も、現場技術員と親会社ソフトのカスタマイズを行っていた私の心を支えていたのは「このソフトを導入さえすれば全てが解決する(に違いない(と思いたい))」という、信仰(願望)にも似た気持ちだったことを今思い出します。結局このソフトは導入にこそ成功しますが、私が担当を外れて半年もたたないうちに、運用にかかる負担(工数)の余りの重さに現場リーダーおよび技術員たちが悲鳴をあげ、そのうち形骸化してしまいました。全部で数億円かかり、資本金36億の会社としては大プロジェクトだったのですが、結果は無残なものに終わりました。

 その後、さらに呆れた事実が発覚しました。私のいた会社にこのソフト導入を迫った親会社自身が、このソフトを全く使いこなしていなかったのです!!それどころか、導入当初から現場作業者の反発が予期されたため、最初からソフトを「骨抜き」の状態にして導入していました。この事実を親会社の現場ヒアリング調査で知った時、現場作業者全員に講習会を開いた後、1ヶ月近く昼夜を問わず現場をフォローしていた自分が馬鹿に思えました。その数年後、親会社が吸収合併で市場からその名が消滅したのも、こういう話を知っていると全く不思議に思えません。

 例によって私の体験談が長くなりましたが、パッケージソフト導入の知られざる「影」の部分を皆さんにも知っていただきたく書きました。ここで改めて、私の売り物である「事務管理システムの構築および運用方法指導」の良さについて考えてみたところ、先行他社に充分対抗できることが分かりました。事務管理システムをクライアント自らが構築するメリットは次の通りです。

①工数以外に導入費用がかからない。
→ 中小・零細企業でも導入可能!!
②自社の「身の丈」にあったシステムになる。
→ 「身の丈」に合わないシステムは「百害あって一利(世間体)のみ」
③自社開発のため、保守やメンテナンス、システム更新も容易にできる。
→ ランニングコストも安い

④システムの開発・導入作業が楽しい。
→ 会社の基幹システム「事務管理システム」を自社開発する「誇り」と「喜び」がある

 これらのメリットに気付いた私は以後今日まで、日本の全企業の99.7%を占める中小企業の皆さんの『事務所埋蔵金』発見および発掘をお手伝いして、中小企業向けトヨタ流マネジメントである『トータルマネジメントシステム』の普及活動に励んでおります。なお『トータルマネジメントシステム』は大企業でも充分役に立ちますので、前述の3社のソフト導入を考える前に是非ご検討をお勧めいたします。

 御社は事務所(間接)業務の「トヨタ生産方式」をご存知ですか?

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