皆さんは『統計学が最強の学問である』(西内啓 著、ダイヤモンド社)は既にお読みになられたでしょうか?2014年のビジネス書大賞(経済書部門)を受賞した本です。ビジネス書大賞については、下記URLからどうぞ。
→ http://biztai.jp/2014/prize.html
ちなみに2014年のベスト10を今改めて見たところ、私が読んだ本が6冊も入ってました。私のビジネス書を選ぶ目も捨てたものではありませんね(笑)。
私見では、この本の「キモ」は①統計学は最善最速の正解を出す②ITとのコラボで統計学は花開いた、の2点だと思います。②については、従来「紙と鉛筆」で行っていた統計処理にコンピュータを導入することにより、今まで統計処理が不可能だったビッグデータも扱えるようになり統計学が急速に進歩した、といった内容です。今回のメルマガでは①についてお話ししたいと思います。
私が①の「統計学は最善最速の正解を出す」で思い出すことは、会社を辞めた後受講した自己啓発系のセミナーです。確か『あなたが思う通りの人生を歩める方法』といったようなタイトルでした。私と同年齢の某やり手コンサルタント(女性)が講師で、銀座まで受講しに行くと、内容はなんと占星術(星占い)のお話でした。人の運命は生まれた日時と場所で決まる、その運命を受け入れればあなたの人生は必ず上手く行く、というすごいお話でした。占星術(西洋・東洋)は何でも4000年以上の歴史があるそうですが、一つ問題があります。カンの良い方はお気づきかと思いますが、天動説なのです!!講師は「21世紀にもなって天動説で作られた占星術なんて馬鹿馬鹿しくて…、という方もいるかと思いますが、占星術は4000年の時間に耐えた統計学なのです。地動説が出たくらいではビクともしません」と言われました。
たしかにその通りで、例えば医学では「喫煙がなぜ肺がんの発症に結び付くのか?」というアプローチをしますが、統計学では「喫煙者は非喫煙者の4.5倍の肺がん発症率である。よって因果関係がある」というアプローチです。なぜ肺がんを発症するのかはどうでもいいのです。これなら結論が早いですよね。スピードが命のビジネスの世界でも統計学を活用しない手はありません(喫煙者の方へ…嫌な事例での説明で申し訳ありません)。
私が6年半在籍した総務部でも勤労課の人は統計的手法を使っており、全社員の年代別人員構成を見て新卒や中途採用人数を決めたり、給与総額の今後の推移を計算したりしていました。その後異動した品質保証部でも、品質保証課の人たちは不適合製品(不良)の発生原因解析等に統計的手法を使っていました。
ところが私が専門とする事務所(間接)業務に関しては、勤休データ(何日働き、何時間残業したか)以外の統計が存在しません。以前のメルマガでも書きましたが、事務所(間接)業務の生産性を上げようと思ったら勤休データでは全然ダメで、部署の全業務の一つひとつについて①いつ②だれが③何時間(工数)使って④何を⑤どのように⑥どのようなスキルで行うのか、について把握する必要があります。①~⑦をA3版2枚にまとめたものが、私がセミナーでご紹介しているオールインワンシート(AIOS)の標準バージョンとスキル・マニュアルバージョンです。
ここで話はがらりと変わりますが、皆さんは『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス)という本はご存知でしょうか?2001年にちょっとした話題になった本で、元はネット上で拡散されていた話だそうです。まだお読みでない方のために、同書の一部をパワーポイント化したものを添付しましたので、ここでちょっとそちら(⑧世界がもし100人の村だったら)をお読みください。
いかがだったでしょうか?ある本に「よくできた統計は、人の考えと行動を変える」と書かれていましたが、この資料の中に皆さんの行動を変える力のある統計データはありましたか?これを読んで「日本に生まれて良かったなぁ」「食べ物を大切にしなくちゃ」「エネルギーの無駄遣いはやめよう」とは思いませんでしたか?
日々勤めていらっしゃる皆さんの職場で『世界がもし100人の村だったら』に相当するものが、オールインワンシート(AIOS)の標準バージョンとスキル・マニュアルバージョンなのです。セミナーでお渡ししている事例は技術開発グループという10人の組織のものです。標準バージョンを見ると、その内2人は長時間残業者です。2人の内の1人は、かつての私のようにいつ倒れてもおかしくない状況です。スキル・マニュアルバージョンを見ると、業務マニュアルの整備が遅れていることが分かります。担当者が休むと業務が止まってしまいます。また各業務に関連する法律も記入されていません。このままでは法令に違反してしまう可能性があります。
あなたがもしグループマネージャー(課長)だったら、このAIOSのどこから業務改善に着手するでしょうか?
最後にエピソードを一つ紹介して今回のメルマガを終わります。先日AIOSセミナーを終えた後、受講された課長さんがこんな話を私にしてくれました。「いや~先生、今日は参りました。私は課長になって5年経つんですが、今まで何も見えていなかったことがよ~く分かりました。AIOSなしで課のマネジメントをやっているつもりだった自分が、今では恥ずかしく思えますよ。いや~、今まで何も起きなくて本当に良かった。私はきっと運が良かったんでしょうね、ガハハハハ」
御社は事務所(間接)業務に統計的手法を取り入れてますか?