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メルマガ第58号

御社は「隠れブラック企業」化していませんか?

  私の『「見える化」セミナー』の最終章「『働き方改革』を実現する業務の「見える化」「最小化」「標準化」」の中で、「トヨタ式ムダとりは間接業務には有効でない」とお話ししています。その理由は「現状-7つのムダ=本来あるべき姿」というTPSの公式が事務所ではあてはまらないためです(添付『業務ムダ取り』参照)。

 角川のお勧めは、部署業務の実態を「見える化」したAIOSと、部署業務の本来あるべき姿を「見える化」した業務目的体系表(PPT)の比較対照による業務ムダ取り手法です。そして添付の『業務分類図』を見せて、部署の全業務はマトリックス図(X軸 :納期、Y軸 : 重要度)の4つの象限(セル)のいずれかに分類できることを説明します。その上で受講者に各象限の大事な順番について聞くことにしています。ここで皆さんもちょっと考えてみてください。

  1. 「重要度 : 高、納期 : 短」
  2. 「重要度 : 高、納期 : 長」
  3. 「重要度 : 低、納期 : 短」
  4. 「重要度 : 低、納期 : 長」

 1番大事なのが①、4番目が④なのは間違いありませんが、毎回受講者を二分するのが2番目が②か、③かです。挙手で回答してもらった後、私はこのように説明しています。

ここが会社のホワイトorブラックを見分けるポイントです」

「②が2番目の会社は10年後今より大きくなっています」

「③が2番目の会社は10年後おそらく淘汰されています」

 我ながらすごいことを言っていますね(笑)。でもちゃんと理由があります。それは象限②に属する業務内容を見れば分かります。②「重要度 : 高、納期 : 長」に属する代表的な業務として、接待・交際、福利厚生、教育があります。業務マニュアル整備などもそうですね。これらの業務はすべて企業の「未来への投資」と言えます。つまり②の業務を経費削減の対象としている会社は「未来への投資」を怠っているので、将来マーケットから淘汰されるのです。このことを別の言い方では「会社(従業員)の未来を先食いしている(食いつぶしている)」とも言えます。だから私は③が2番目の会社=ブラック企業、と断言できるのです(ちなみに②が2番目の会社=ホワイト企業)。

 この話をすると「③が2番目に大事と思う方?」という私の問いかけに挙手してしまった受講者の方はうつ向いてしまいます。そこでこう続けます。

「大丈夫ですよ。たとえ皆さんはそう考えていても、皆さんの会社は②を大事にしていますよ」

「その証拠は、私の前に座っている皆さんご自身です」

「皆さんの会社は高い受講料、交通費やホテル代、今日の分の給与を支払ってまで皆さんを当セミナーを受講させ、会社と皆さんの未来に投資してくれているじゃないですか!! 」

「そんな御社がブラック企業のはずありません。立派なホワイト企業です。自社にもっと誇りを持ってください!!」

 私がこう言うと③に挙手した方はホっとした表情になり、中には照れ笑いしている方もいらっしゃいます。この方の会社の社長さんや経理部長さん、総務部長さんがもしこの話を聞いたら、きっと涙ながらにうなずかれることでしょう(笑)。

 ちなみに経営者が②を真っ先に削る理由は「納期が長いので不急」との判断からですが、長らく不況で②にずっと予算をつけない会社(隠れブラック企業)が増えている点を私は憂慮しています(添付『業務ムダ取り』のグラフの「必要だが現状未実施の業務」が②にあたります)。この状態で管理職が代替わりすると、必要だという認識すらいつしか消えてしまいます。実に恐ろしいことです。

 昨今の厳しい経営環境下、ともすれば経費を削減しがちな象限②の業務ですが、世間で『エクセレントカンパニー』と目される会社は、歯を食いしばって未来への投資を継続しています。

 御社は「隠れブラック企業」化していませんか?

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