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メルマガ第47号

御社の設計部門は「社内電通」化していませんか?

 さる10/6(金)に東京簡易裁判所で、現在世間の注目を集めている『電通違法残業事件』の判決が言い渡されました。罰金は50万円でしたが、同社が実際に受けたダメージはそんな生やさしいものではありません。

  1. 厚生労働省の『労働基準関係法令違反に係る公表事案』に社名公表
  2. 経産省より1ヵ月の入札停止処分
  3. 社会的イメージが大幅に低下

 2020年の東京オリンピックは同社不在では開催が危ぶまれるため、同社はあえて控訴せず早期に結審を図った、と報道されています。しかし今回の事件で同社の被ったダメージは、金額換算したら一体いくらになるのでしょうか?

 さて2015年12月25日に過労自殺した同社の高橋まつりさん(当時24歳)は、月105時間の残業でうつ病を発症(前月は40時間残業)したと報道されています。これを聞いて「俺の方がもっと残業してるぞ!!」「俺なんかここ数年、残業・休日出勤が100時間/月以下だったことがないぞ!!」等、ひそかに思った方もいることでしょう。かくいう私もその一人です。

  私の「見える化」セミナーでは、6年間月150時間以上の残業・休出を強いられ、上司がメンタル不全で倒れた後はなんと300時間の残業・休出となり、半年後ついに倒れ救急車で入院した私の事例を紹介しています。

  ここまでひどくなくても、『過重労働の殿堂』設計部門で長時間労働が常態化している会社は結構多いのではないでしょうか? 私の前職では、私より長時間働いている方がおりました。私の高校の大先輩のN設計部長がその人です。守衛さんを除き、元旦から出勤している社員は私とN部長だけでした(苦笑)。

  私は40代前半でまだ体力がありましたが、50代後半だったN部長はさぞきつかったことでしょう。入社以来設計部門一筋だったN部長は、きっと長時間労働に「耐性」ができていたのでしょうね。

 そんなN部長ですが、全社員の3分の1を切った「平成の大リストラ」で片腕だったベテランの主任(40代)を失ったダメージはさすがに大きく、仕事量が処理能力を超えてしまったN部長は、監督省庁に虚偽の書類を提出 → 発覚 → 無期限の製品出荷停止処分、とまさしく会社を「存続の危機」に追い込む大事件を起こしてしまいました。

 あと半年で定年だったN部長への処分は「懲戒解雇」で、退職金も没収です。これが37年間会社に滅私奉公したN部長に対する会社側の処罰でした。

 この事件の真の発生原因は「聖域なきリストラ」の名のもとに行われた、なんの合理性もない無茶苦茶なリストラのせいです。もともと5名分の仕事を3名でやっていた設計部にとって、1名をリストラで失ったのは事実上の「死刑宣告」でした。

 しかしN部長にも非はあります。上記の事実を数値データで経営者に提示すれば、事態は変わったかもしれないからです。私の「見える化」セミナーで紹介している「見える化」ツールが「設計グループ」で作成されている理由は、当時N部長をなんとか助けたかった私の想いによるものなのです。

 「見える化」ツールを見せ、その作成を勧める私にN部長は「角さんの言うことは分かるし、もっともだと思うけど、今の俺にはその時間がないんだよ…」とのことでした。怒涛のように押し寄せる仕事の波に、押しつぶされる寸前だったN部長には「時すでに遅し」でした。本当に残念です。

 さて、ここまで読まれた設計部門の皆さん、当事例をひょっとして「他人事」と思っていませんか? そんな方に、2年後に法制化予定の『働き方改革実行計画』について簡単に解説します。

 『働き方改革』の二大テーマは「残業ゼロの大号令」「同一労働同一賃金の強制導入」です。今まで事実上の「青天井」だった残業時間も、ついに法規制の対象となります。また違反企業への罰則も厳しく、①厚労省HP上で社名公表②公共事業への入札禁止、です。

  時代は変わりました「俺たち設計部門の残業・休日出勤が、この会社を支えているんだぞ!!」という上司についてくる若手社員はもういません。これからは決められた労働時間の中で業務生産性を向上し、いかに他社を凌駕する製品を開発するかを真剣に考えなければ、会社は生き残れません。また、そうしないと「お上」に潰されてしまう時代なのです。

  私が『設計部門の「見える化」』セミナーを開催している理由は、前述の『時代の変化』にどう対応したらよいか分からず困っている設計部門の部課長・主任さんの力になりたいと心底願っているからです。もうこれ以上、N設計部長のような『悲劇』を見聞きしたくありません。

  前述の電通で「クライアント・ファースト(顧客第一)」のスローガンの下、年の半分以上日付が変わるまで働いていた社員が、今回の判決後にこう言ったそうです。「今思うと、異常だった

  ひょっとして御社の設計部門は「社内電通」化していませんか?

 

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