⑩TMS研メルマガ一覧表

メルマガ第136号

御社の「備え」は万全ですか?

 製造業ではISO9001、14001の認証を取得している会社が多いかと思いますが、ISO22301はご存じでしょうか? この規格はBCP(事業継続計画)について定めたもので、2011年の東日本大震災以降、認証取得会社が増えました。

 ちなみにBCP( 事業継続計画 )とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態 に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

 緊急事態 は突然発生します。 有効な手を打つことがきでなければ、特に中小企業は経営基盤の脆弱なため、廃業に追い込まれるおそれがあります。 また、事業を縮小し従業員を解雇しなければならない状況も考えられます 。

 緊急時に倒産や事業縮小を余儀なくされないためには、平常時から BCP を周到に準備しておき、緊急時に事業の継続・早期復旧を図ることが重要となります 。こうした企業は、顧客の信用を維持し、市場関係者から高い評価を受けることとなり、株主にとって企業価値の維持・向上につながるのです(上記の10行は中小企業庁HPからの引用)。

 ここで、上記の文章の「中小企業」を「日本」に置き換えてみましょう。主な天然資源はほぼ全量が輸入で食料自給率4割というこの国は、他の先進国およびOECD諸国と比べて、経済の基盤がかなり脆弱(ぜいじゃく)です。このような国を存続させるには、リスクマネジメントが必要不可欠となります。同様に日本で事業を行う企業で、リスクマネジメントはとても重要です。

 【注】 リスクマネジメントとは、企業がビジネスを進めていく中で、事業承継やセキュリティ、内部統制など、経営に影響を及ぼすさまざまな「リスク」を認識、評価し、計画性を持って対応する取り組みのこと。

 リスクマネジメントの第一歩は、企業存続を脅かす「リスク」の洗い出しです。オーナー会社でよく見かける事例として、社長は製品開発と営業に専念し、奥さんが経理・総務を担当している会社があります。私の知っている事例で、会社業績は黒字の優良会社だったにもかかわらず、奥さんの急死により約束手形が不渡りとなり、倒産してしまった会社がありました。

 次は「リスク」の見積もりです。その「リスク」が具現化した際に会社に与えるダメージを見積もります。①会社倒産 ②赤字転落 ③売り上げ減少、等々です。最後がリスクの高いものから計画的にリスク軽減に努める、というのがリスクマネジメントの手順です。

 さて企業にとって、事業の継続を脅かすもの( リスク )とは何でしょうか? 天災による製造設備の損壊、国際情勢の変化による原材料の入手困難、顧客の業績悪化に伴う取引停止等々、他責のもの( 自社の責任ではないもの )はさておき、自責のもの( 自社の努力でリスクを軽減できるもの )は何でしょう?

 数年前、家具職人の創業者が一代で築き上げた大塚家具の事業承継の失敗が話題となりました。前職で総務部員だったとき数多くの業者さんと商取引がありましたが、社長交代でおかしくなった会社をいくつか目の当たりにしたことがあります。海外の大学でMBAを取得した二代目が社長就任後に幹部社員全員が造反し退職、別会社を設立したこともありました。これらの事例からも、社長交代( 事業承継 )は会社存続にとって極大のリスクであることが分かります。

 またコンプライアンス違反も会社をつぶすリスクがあります。PL保険や労災保険等の対策が取れないからです。前職で過労死寸前だった設計部長が、監督省庁に7年前の試験データを提出したことが発覚し、あわや会社倒産の危機に陥ったこともありました。

 これらの自責によるリスクは、すべて組織マネジメント不良によるものです。全業務のマニュアルを作成し、いつでもだれでも必要な時すぐに見られるマニュアル管理システム(AIOS S・Mver.)を構築し、業務の属人化を解消しなければなりません。

 そうすれば経理担当の奥さんが急死しても税理士にその代行を依頼でき、前述の会社は倒産を免れました。また私の前職の設計部長も、一人で仕事を抱え込まずに他の人に仕事を振れました。そもそも間接業務の生産管理システム( AIOS標準ver.)があれば、部長ひとりで3.5人分の仕事を行っている異常事態が事前に発覚したはずです。

 他責による会社倒産や業績悪化は「運が悪かった」と諦めがつくでしょうが、組織マネジメント不良等の自責によるものだった場合は、悔やんでも悔やみきれないことでしょう。ましてこのメルマガを読み、組織マネジメント不良がもたらすリスクの大きさを理解されている皆さんにとって、組織マネジメントシステムの自社構築に挑戦しなかったことは生涯の痛恨事となることでしょう。老人ホームに入居後に嘆いたところで、介護士の方に慰められるだけですよ(笑)。

 そうならないためにも、組織マネジメントシステム(OMS)の自社構築に直ちに着手してください。私が過去に指導した事例では、OMSによって経営者交替に成功したことものが4例あります。しかも引継ぎに要した期間は半年~1年でした。その経験からも「OMS自社構築こそ究極のリスクマネジメント手法であり、事業継続の決め手である」と断言できます。

 御社の「備え」は万全ですか?

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