小学3年の時に祖父に将棋を習って以来、私は負けっぷりの良さに定評がありました。悪手を指し形勢を損ねたことに気付くとそんな自分に嫌気がさし、粘る気力が湧かないのです。完璧主義で芸術家気質だった私は、今考えると相手のことを考えず一人で将棋を指していたように思います。
そんな私も社会に出ると、何一つ自分の思うようにいかない社会の厳しい現実を前に、方針転換を迫られます。そういった意味で営業部員を経験できたことは、私の大きな財産になっています。自分から諦めることが根絶した現在、青少年期の淡白さはその影もありません。
さて現在、日本で唯一明るい話題を提供し続けている藤井聡太棋聖を擁する将棋界に、かつて「巨人」と称される大山十五世名人がおりました。同名人の残した言葉に「助からないと思っても、助かっている」というものがあります。その意味は「苦しい時、人間は早く楽になりたくて自ら負け急いでしまうことがある。そんな時、歯を食いしばり必死に考えると、不思議と活路を見い出せる」というものです。
大山名人の一番弟子で「関西の闘将」「火の玉流」と称された有吉道夫九段は、勝負に淡白な若手棋士に勝負師の心得を説きました。「〇〇君、自分から勝負を諦めてはダメだよ!! 敵に手を奪われたら足で、足を奪われたら歯で、歯を折られたら目で相手をにらむんだよ!!」 「先生、お言葉ですが、それで勝てるんでしょうか?」 「万に一つの可能性を信じてにらめば、将棋盤の向こうの対戦相手が突然死することもあるかもしれないじゃないか!!」
この話を聞いた35年前は無茶苦茶な話だと思いましたが、私の心の片隅に残りました。歳月を経て、今では有吉九段の言うことが理解できます。勝ち負けとはあくまで結果にすぎず、死力を尽くして精一杯戦うことしか人間には出来ない。そして勝利を疑わず無心に努力を重ねることによってのみ天と地が味方し、必敗と目された戦いに勝利することができる。またその勝利とは決して「奇跡」などではなく、実は「必然の結果」である、と私は解釈しています。
話は変わりますが、私はセミナーやコンサルで外出する時以外は基本的に在宅勤務なので、仕事の合間の息抜きによくYouTube動画を見ます。今回ご紹介する下記の動画は、絶対無理と思えることを「そんなことはない!! 絶対やってやる!!」との思いで成し遂げた方々の事例です。ぜひご視聴ください(下記のタイトルで検索可)。皆さんの心に「ガツン!!」とくること、間違いなしです。
その他では、下記の事例も不可能を可能にした事例です。
いよいよ本題に入りますが、私はいま昨年10月に実施した『AIOS作成実態調査結果一覧表』を見ています。実際にAIOS作成に挑戦された皆さんのストーリーです(3/4発行のメルマガ増刊号をご参照ください)。AIOS作成を成し遂げた10名の皆さんの職位は、部長4名、課長1名、主任2名、担当者3名です。
職務権限のある部課長はさておき、主任・担当の職位でAIOS作成に取り組んだ5名は相当な勇気と覚悟が必要だったことでしょう。また推進に際し、並大抵ではないご苦労があったに違いありません。私自身前職で担当者の職位でAIOS作成を発案・推進し、大変な苦労をしたので良く分かります。
寄せられた回答書を読むと、上司にAIOSによる現状の見える化の必要性を根気強く説き味方につけた方、理解のない上司に見切りをつけ密かに作成を推進された方がいます。物ごとを成し遂げるのに必要なものは職位でも学歴でもなく、ひとえにその人の熱意と覚悟だけであることを、彼らは身をもって私に教えてくれました。
彼らを突き動かした衝動は、自分の力でAIOSを本当に作成できるのだろうか? という不安を上回りました。その結果、彼らの挑戦は実を結びます。ここで大事なのは「成功したかどうか」ではありません。「挑戦したかどうか」こそが大事なのです。
1991年のバブル崩壊から今日まで続く『失われた30年』により、日本人はリスクを取ることを極端に恐れるようになりました。その結果、日本という国自体がジリ貧(じりじりと貧困に陥る)状態となりました。ジリ貧は最後にはドカ貧を招きます。そこでこの国はジ・エンドです。
リスクをとるのが怖い皆さん、本当に怖いのは必要な時にリスクを取らず、ジリ貧→ドカ貧コースに転落することです。リスクを取った結果、失敗することもあります(むしろ失敗する方が普通です)。しかし失敗はいずれ成功に繋がります。勇気を出してリスクを取れば、いつか必ず成功します。「リスクを取らないこと自体が、実は大変なリスクである」ことに早く気づいてください。
勝負(人生)は、自分の心が折れたときが負けです。逆に言えば、勝負を諦めないあなたは決して負けることはありません。
あなたはやる前から諦めていませんか?