7/15(金)に近隣の土浦市で開催されたセミナーを受講してきました。タイトルは『企業をデジタルトランスフォーメーションするためにこれだけは知っておきたいこと!』で、講師は日本マイクロソフトのN先生です。DXエバンジェリスト( 伝道師 )の異名を持つ同氏は年間300本もの講演をこなし、プレゼン技術(著作2冊あり)も素晴らしく、80分間の講演は大変感心させられました。
同氏は、前職が日本オラクル、現職が日本マイクロソフトとIT技術の専門家で、その講義内容はシステムベンダー側に立ったものです。以下、その内容を簡単にご紹介します。
講演が終わり、質疑応答の時間となりました。そこで私は次の質問をしました。
「私もDXの重要性についてはまったく同意見です。しかし1年前に発行された経済産業省の『DXレポート2(中間とりまとめ)』によると、日本企業の実に95%がDXに未着手です」 「また挑戦した5%の企業でも、DXに成功した企業はわずか14%です」 「両者を掛けると日本企業でDXに成功したのはわずか0.7%、142社中1社です」 「こんなことでは、日本企業の大半が『2025年の崖』から転落してしまいます」 「日本企業がDXに取り組まない理由を先生はどのようにお考えでしょうか?」
この質問に対するN先生の回答は次の通りでした。
この回答に対し 「20年前のERPブームの際に導入に失敗し、そのトラウマから今回DXを見送る会社が多いと私は見ています」 「私の前職でも、現場の意向を無視して強引にERPを導入した結果、大変な事態となりました」 「ちなみに私はERPの品質管理システムの担当でした」と述べたところ、講師はしばらく考え 「貴重なご意見をお聞かせいただきありがとうございます。勉強になりました」と答えました。
カスタマー(ユーザー)側から見た『日本企業がDXに取り組まない理由』は次の通りで、これらはすべて20年前ERP導入失敗のトラウマから発生したものです。
上記①~⑤を逆に考えると、これらの失敗原因の対策を推進プロジェクトに織り込めば御社のDXは成功する、ということになります。私の考える『DX成功法則』は次の通りです。
いかがでしょう? 同じDXでもベンダー(サプライヤー)側から見える景色とカスタマー(ユーザー)側から見える景色には、かくも大きな開きがあることに気づいていただけたでしょうか?
しかし、そんなことに感心している場合ではありません。『2025年の崖』まであと2年半しかありません。DXした会社としなかった会社では「鉄砲vs.刀」 「プロペラ機vs.ジェット機」 「そろばんvs.パッケージソフト」 くらいの差がつきます。後者は勝負の土俵にすら上がれません。DXしなかった会社は最悪倒産or売却、良くてもDXに成功した会社の下請けになり、いずれにしても明るい展望はありません。
ここまでの話をまとめると①日本企業の体質からDXの実現は非常に困難②2025年までにDXしないと取り返しのつかないことになる、となりますが、この板挟み状況に対し、我々はいったいどうしたらよいのでしょうか?
それにはまず、あなた自身が「ERP導入失敗のトラウマ」から脱却することです。そのためには20年前の失敗原因を再検討し、その対策をDX推進プロジェクトに織り込みます。
次に従業員アンケートを実施し、DXのニーズを測定すると同時に危機感の共有化よって、経営者・従業員の総力を結集して『2025年の崖』に立ち向かう態勢を作ります。アンケートの集計・分析結果および対策を結果報告会で共有化すれば、一瞬で社内の空気が変わり、業務改革プロジェクトにつきものの「抵抗勢力」も発生しません。これでDX推進プロジェクトのキックオフは100点満点です。
さあ、泣いても笑っても2025年まであと2年半です。あなたを信頼してくれている社員・部下たち、そしてなによりかわいいお子さんたちに立ち上がる時は今です!! DXの波に飲まれ世界経済の二軍化した日本を後年嘆くより、「DXに挑戦してやるぞ!!」という人が一人でも多く現れることを私は祈っています。
あなたは「ERP導入失敗のトラウマ」を克服できますか?